渋沢龍彦全集(21) の商品レビュー
花が次々と咲く季節になって『フローラ逍遥』が読みたくなって収録されているこの全集を借りて読んだ。意外に水仙、梅、菫、金雀花、ライラック、桜など可憐な花について書かれていていつもデカダンな雰囲気もなく素直にうっとり読み終えた。『うつろ舟』は鎌倉綺譚集ともいうべき短篇であった。美人の...
花が次々と咲く季節になって『フローラ逍遥』が読みたくなって収録されているこの全集を借りて読んだ。意外に水仙、梅、菫、金雀花、ライラック、桜など可憐な花について書かれていていつもデカダンな雰囲気もなく素直にうっとり読み終えた。『うつろ舟』は鎌倉綺譚集ともいうべき短篇であった。美人の首、髑髏の杯、妖しく悲しく堪能した。『私のプリニウス』ローマ時代のプリニウスの『博覧記』からここの部分は違うとか科学が無いにしてもここまで書くのはどうかしている…とちょっと批判的に始めるのが、だんだん空想小説やプリニウススタイルとしてその空想力に惹かれて読んだ。当時のインドやアフリカや東洋は古代ローマのSFだったのかもしれない。後半のアンドリュー・ワイエスの考察が素晴らしい。
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