村上龍映画小説集 の商品レビュー
1995年6月30日 第一刷 再読 村上龍の‘70年代のほろ苦い青春って、帯のキャッチコピーですがー。一般市民の青春はほろ苦ですよ。でもね、この小説のどれくらいが虚構なのかは分かりませんが、嘗胆ですよ。臥薪ですよ。龍さんは芸の肥やしに昇華しゃったから許されるんだろうけどね。
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最初は何がなんだか分からなかった。短編?が繋がっていることがわかると本当に映画を観ている感覚。 難しく、複雑にも思えて21の私にはまだ分からないことなのかも…数年経ったらまた読みたい。
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村上龍の小説って、暑苦しさとか汗の臭いとか、体液の臭いが本当に感じられて、自分も追体験してるような感じがして、すごく好きだわ。
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村上龍が芥川賞を受賞したのは確かわたしが大学生になったばかりの頃だ。内容はよく覚えていないが、自分の環境と余りにもかけ離れている主人公の生活に憧れつつも、ついて行けない印象が強かったことだけは覚えている。この作品は、メイキング of「限りなく透明に近いブルー」の印象で読んだ。酒、...
村上龍が芥川賞を受賞したのは確かわたしが大学生になったばかりの頃だ。内容はよく覚えていないが、自分の環境と余りにもかけ離れている主人公の生活に憧れつつも、ついて行けない印象が強かったことだけは覚えている。この作品は、メイキング of「限りなく透明に近いブルー」の印象で読んだ。酒、ドラッグ、セックスが当たり前のような生活を道具立てとする内容は、今でも違和感を感じる。しかしあの頃よりはずっと楽しめた。作者にかんしてはテレビの「カンブリア宮殿」を通じて好印象を持っている。だからと言う訳でもないが、彼があの年齢で芥川賞を受賞した訳が解るような気がする。やはり才能豊かなのだ。この作品が「村上龍 映画 小説集」となっていることでそれに気付いた。彼は小説を書いているのだ。主人公を中心として周囲の人物が読む人の頭ににくっきりと浮かび上がって来る。これから村上龍を読み直さなくてはと思った。
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良い本というものは、2度、3度読んでしまうものである。僕はこの本を読むのが3回目である。つまり、この本は良い本ってことだ。 はじめてこの本を読んだのは高校生の時だったろうか。そのときは、自分がしている「ままごとのようなセックス」と本書で登場人物がするうような「動物的なセックス」...
良い本というものは、2度、3度読んでしまうものである。僕はこの本を読むのが3回目である。つまり、この本は良い本ってことだ。 はじめてこの本を読んだのは高校生の時だったろうか。そのときは、自分がしている「ままごとのようなセックス」と本書で登場人物がするうような「動物的なセックス」の差に驚いた。他にも、麻薬やヘロインなどがたくさん出てきて、とても刺激的だったことを覚えている。 次に読んだのは20歳のときだ。その時も、やっぱり刺激的だなと思って、本書に出てくるヤザキのように、福生まで出かけて行った。もちろん、1970年代と現在の横田は趣がまったく違っており、何もなかったけれど。しかし、横田のファントムの音を聞くだけで不思議と幸せになれた。 そして、今、僕はこの本を3回目として、読んだ。 結局のところ、何もかも失われてしまったのだ。青春は2度と戻ってこない。これがこの本から今回受けたメッセージだ。 もちろん、初めて読んだ時と、就職を控えた現在では、まったく読後感が違う。 初めて読んだ時は、オキナワがバーのパトロンに対して、就職を求めたシーンなどでは正直いって軽蔑したが、今ではとてもじゃないけどそんなことはできない。むしろ、感情移入すらしてしまいそうだ。そして、「自分はなんとか就職決まってよかったな」と安堵したし、彼らがヒッピーぶりながらも、そういった態度をとったことが痛いほどわかった。 つまり、そういった年代のそういった気持がわかる年齢になったのだ。おそらく、大学3年生と4年生にはわかるのではないだろうか。 人生を生きるたびに読後感が変わるこの本は、本当に素晴らしい。もしかしたら、4回目もあるかもしれない。その時は、どういった輝きを本書は見せてくれるのであろうか。
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少し前の作品についてが多いので、若い人が読んでもなんのこっちゃになりそうですが、 村上龍の視点や表現方法はやはり面白いですよ。
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村上龍の小説のなかでも一番乾いていて、それでいて綺麗で切ない。 大体すべて実話、でも私小説風じゃないタッチ。 こんな時代はもうこないんだろなと思うと少しうらやましい。
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龍さんの著作の中で初めて読んだもの。 もう何回読み返したことか…。 それくらいお気に入りです。 とてもロマンティックな内容だと、私は思っています。
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この小説は「69」の主人公が専門学校へ進学した後のエピソードを編んだものだ。時系列としては「69」と「長崎オランダ村」の間に位置している。というわけで、やはり村上龍本人を髣髴とさせるので読んでいて少し萎える部分もある。しかし、この世代を主人公にしたわりに、やさぐれた位置にもスノッ...
この小説は「69」の主人公が専門学校へ進学した後のエピソードを編んだものだ。時系列としては「69」と「長崎オランダ村」の間に位置している。というわけで、やはり村上龍本人を髣髴とさせるので読んでいて少し萎える部分もある。しかし、この世代を主人公にしたわりに、やさぐれた位置にもスノッブな位置にも凡庸な位置にもシフトせず、独特な冷静さを持った主人公を描き出していて、この3部作の中では一番好きな作品だ。短編は各々映画のタイトルをつけられているが、その映画は作品中にある種の象徴として提示されるだけで、特に知らなくても十分に楽しめる
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空気が白く澱んでいるように見えて、鼻の頭と口のまわりに汗を掻いた痩せた女は、微笑を浮かべていたが、私はそれを醜いと思った。そして、今彼女に醜いと感じたことを決して忘れないようにしようと決めた。(p.104) それをやっていれば、どこにも行かなくて済むっていうものを見つけなさい、そ...
空気が白く澱んでいるように見えて、鼻の頭と口のまわりに汗を掻いた痩せた女は、微笑を浮かべていたが、私はそれを醜いと思った。そして、今彼女に醜いと感じたことを決して忘れないようにしようと決めた。(p.104) それをやっていれば、どこにも行かなくて済むっていうものを見つけなさい、それができなかったら、あんたは結局、行きたくもないところへ行かなくてはいけない羽目になるわけよ。(p.227)
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