アイヌの四季 の商品レビュー
アイヌ民族の著者が、割り切れなかった自分に折り合いをつけるため、またアイヌプリ(アイヌの作法、生き方といったもの)を同胞や次世代に伝えたいという想いから、フチ(お婆さん)の家に居候をして、そこで得た経験や知識をまとめた本。山の幸の活用法(食べる・着る・使う)や、オハウ、ラタシケプ...
アイヌ民族の著者が、割り切れなかった自分に折り合いをつけるため、またアイヌプリ(アイヌの作法、生き方といったもの)を同胞や次世代に伝えたいという想いから、フチ(お婆さん)の家に居候をして、そこで得た経験や知識をまとめた本。山の幸の活用法(食べる・着る・使う)や、オハウ、ラタシケプなど伝統料理のレシピもたくさん載っています。 「お婆ちゃんの知恵袋」とかは今もよく言うことだけど、生活に深く根ざした豊かさというものは、ほんとにお婆ちゃんに学ぶに限るという感じがしますね。 中でも、「働き終わったらお迎えが来るんだから、それまでは一生懸命働き続けるのが人間」「死後、女は女の国へ、男は男の国へ行く。だから生きている間は仲良く、お互いを大事に」といった肩肘張らない天然自然の教えには、耳がなびくというか、心地よささえ覚えます。 (アイヌに限らず)私らは日々面倒で些末な問題を抱えていてなかなか余裕というものが持てないわけだけど、「昔ながら」の生活・習慣の中にある大切なものに、改めて気づかされる思いがします。 織り交ぜられているアイヌ語も面白い。 鮭筋子のことをチポロというそうな。あれ?これって「チプ-オロ」で「魚の中」のことではないか?などと思うと、そのシンプルな名付けに興味をそそられます。 あと、マタギという言葉。これは秋田のマタギ本などを読むと、「山を又にかけるから」「殺生をする鬼のまた鬼だから」などの語源が出て来ます。でもこの本によると「マタンキ」で、冬(マタ)に行動するの意味だ、と明快にある。 これらもたいへん、すとんと肚に落ちる話なんであります。
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1993年2月から12月まで北海道新聞の連載記事。 掲載日が入っているのがよい。 織田ステノ フチ からの聞き取りが中心とのこと。 鍛冶明香の切り絵が,楽しく読む雰囲気を作ってくれる。 北海道を訪れる前に読んでおくといい。
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