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平和への意志 の商品レビュー

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2023/01/16

過去の読書ノート第10弾 岩波書店の総合雑誌「世界」の初代編集長・吉野源三郎の編集後記集である。 私は吉野源三郎を現代思想家の1人だと思っている(思想家の定義は加藤周一「雑種文化」の書評に書いた)。しかし吉野の著作は極めて少ない。哲学者として登場した彼は、戦中に編集者(ジャーナリ...

過去の読書ノート第10弾 岩波書店の総合雑誌「世界」の初代編集長・吉野源三郎の編集後記集である。 私は吉野源三郎を現代思想家の1人だと思っている(思想家の定義は加藤周一「雑種文化」の書評に書いた)。しかし吉野の著作は極めて少ない。哲学者として登場した彼は、戦中に編集者(ジャーナリスト)に変貌したからだ。よって彼の思想の全貌を研究しようとすれば、彼の関わった本や雑誌を網羅しなくてはならない。やるべき仕事だとも思う。 現代の編集長の誰が、「言論機関の主要な任務ー最大の任務が、戦争への抵抗にあることは当然」と言い切るだろうか。 現代知識人はあまり自覚していないが、改憲の動きは今に始まったことではない。戦後の直ぐから吉野源三郎は「改憲」への動きにずっと警笛を鳴らしていた。それは本書を読めばわかる。改憲への日程が1957年よりも切実になってきていて、日本がかつてない軍事大国になろうとしている現代、今こそ吉野源三郎の再評価が叫ばれるべきだと思う。 「平和への意志(1946-1955)」95.8読了 吉野源三郎著 岩波書店 95.2.20発行 2,500円 ・46年6月号「民主主義革命が強力な庇護のもと進行している今日」 ・46年12月号「しかし結局、これくらいな「混乱」を通り抜けないで根底的な革命が成就できるなどと‥‥」 ・51.2 加藤周一「竜之介と反俗的な精神」1回目 ・51.5 森鴎外「小倉日記」発見。 ・51.8 「現代の選ばれた人々」執筆者←→「地の塩」というべき無名の真摯な生活者 ・52.10 特集「総選挙」  結果によっては、憲法改定→再軍備 「‥‥それにしても、私たちが望んだような効果が実際に生じるためには読者の強い御後援を待たねばならない」→木鐸意識 →自由党240 改進党85  自由党が過半数を占め、左派社会党の進出が特徴的 ・52.12 「本当の問題はもちろん、ただどうなるかではなく、どうするかにある」 ・53.1 「民主主義をめぐるイデオロギー対立と日本」 辻清明・平野義太郎・丸山真男・古在由重・久野収‥‥ ・53.2 松川事件特集 第二審後 ・53.5「恐怖から共存へ」丸山真男・都留重人・古在由重 ・53.7 「このまま進んで、日本の経済が軍事経済の第二造(ママ)を固定してしまったら‥‥いったい何を学びとったのか‥‥」 ・53.11 松川事件は国民的関心の的に       「内灘」は訴える      「世界の窓」アメリカの眼を通してみることからの解放 ・55.2 総選挙 共産党2 「革新派」が改憲に必要な2/3以上の議席を阻止 「『戦後』への訣別」「世界」編集後記1956-60 吉野源三郎著  95.12.3読了  95.2.20発行 岩波書店 2,500円 ・56.1 「平和の擁護と民主主義の確立とは、特に私たちの場合には一つにして不可分である。そして言論の自由が民主主義の確立によって守られる基本的人権の一つであるとともに、またそれ自身、民主的社会を構成するための不可欠の要因であるとすれば、今日の日本において、言論機関の主要な任務ー最大の任務が、戦争への抵抗にあることは当然であろう。」 創刊10周年の巻頭言。 ・岩波講座「現代思想」  吉野が企画・編集。  丸山真男・都留重人・清水幾太郎・中野好夫・古在由重  全12巻 1956.11〜57.12刊行。 ・57.4 平和共存のために    「平和五原則」の理論的深化 ・57.10 平和憲法の改定と再軍備の上程はもはや時間の問題となったわけである。 →60年安保闘争でこれを潰した。  人民の勝利の経験だが、経験として蓄積されていない。 ・58.2 犬は死の直前まで、なんの不安も感じないものである。 ・81年5月23日、吉野82歳で死す。

Posted byブクログ