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眩暈 の商品レビュー

3.6

95件のお客様レビュー

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    15

  2. 4つ

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  3. 3つ

    32

  4. 2つ

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2021/03/14

あの現実とは思えない手記が論理的に解明されていくさまは圧巻。 島田荘司は最初に提示される謎が本当に魅力的である。 ただ、一応説明はつけられるものの、両性具有者のことについては少し曖昧な部分がある気がした。(私の読みこみが浅いだけだったらすいません。)

Posted byブクログ

2021/02/24
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久しぶりの御手洗シリーズ。 この間それなりに読書経験を積んだせいで、御手洗がカッコ良く見れなくなってたらどうしよう…と若干の不安があったんだけど、ちゃんとカッコ良くて嬉しかった。 派手で強引な真相で島田荘司らしいストーリー。 面白かった。 超有名俳優の息子にして『占星術殺人事件』の読者でもある青年が、鎌倉の独り暮らしの部屋にある日強盗に入られ、居合わせた父親の恋人と父親の秘書が殺されてしまう。太陽が消えこの世の終わりのような様相を呈する世界で、青年はふとこの二体の死体でアゾートを作ることを思い立ち実行する。するとアゾートが動き出し……という手記が、東大教授によって御手洗にもたらせる。 この手記は何を示すのか。教授は筆者の脳の障害を疑い、御手洗は実際に起こった事件だと主張する。 その実証のため、石岡は現地調査に派遣される。 死体を分断するシーンのとてもリアルな表記は確かに現実に起こった事件に思えるけど、夜だけの世界とか変わり果てた鎌倉の風景とかアヤシイ人間とか恐竜とか、さすがに現実としては説明できないでしょみたいな、これどう落とし前つけるんだ的な相変わらずの島田荘司ぶりだった。 渦の右巻きと左巻きには気づいたけど、まさかインドネシアまで飛ぶとは思わなかった。ここのところの御手洗シリーズは世界を股にかけてる。 9階程度のマンションじゃ階数は誤魔化せないだろうな(今ならタワーマンションにするだろう)とか、謎の死を遂げたサラリーマンの未亡人を襲った美青年は結局誰だったんだろうとか、いろいろ都合良すぎるところも含めて突っ込みどころ満載だったけど、大枠は面白かった。 手記の謎が一応合理的に説明されて、一応スッキリ。 あと、知的好奇心が一番で決して正義の側にいるわけじゃない御手洗のスタンスを堪能できて満足。 本来の形に組み戻された手記を読む時に自分の集中力が持たなかったのだけ残念だった。 (以下、京極堂シリーズにかぶれた人目線の感想) 久しぶりに読む御手洗は、榎木津と中禅寺を足して2で割ったような人物として私の前に立ち現れてきた。 他人を全く気にしないところと外見のカッコ良さは榎木津で、合理的な思考と丁寧な口調で他人を翻弄するところは中禅寺。 そして石岡君は、鬱じゃない関口(笑)。 特に御手洗の命で鎌倉を調査する石岡君は、榎木津に無茶振りされて現地調査させられる関口と、超シンクロしてる。御手洗に馬鹿にされて嫌味を言われるところも、中禅寺と関口の関係に置換可能。 畸形児とかバラバラ死体とか、エピソードにも京極堂シリーズのエッセンスが感じられる。 直接影響を受けたとまでは言わないけど、私何読んでるんだっけ?と思ったくらい混乱した(笑)。

Posted byブクログ

2021/02/01
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再読。 サリドマイド。この時代って、こういう問題があったな、と思う。今でもなくなったわけではないと思うけれど。 覚えていたのは、左巻き右巻き、マンショントリック。 再読して、なるーと思ったりする。 そしてホントにめまいがする。どれがホントなんだろう?どうつながってるんだろう?読みかえりたくなる。が厚いのだ、本が。 またいつか読もう。

Posted byブクログ

2020/04/19

ミステリー初心者ですが、このミステリーは面白いと思いました。 ホラー小説を連想させるおどろおどろしい文章が、天才探偵の元に持ち込まれたとき、どんな事件が明らかになるのか。 トリックとしてはちょっととんでもない部分もありましたが、そうか、そう言うことだったのか! と言わせる説得...

ミステリー初心者ですが、このミステリーは面白いと思いました。 ホラー小説を連想させるおどろおどろしい文章が、天才探偵の元に持ち込まれたとき、どんな事件が明らかになるのか。 トリックとしてはちょっととんでもない部分もありましたが、そうか、そう言うことだったのか! と言わせる説得力は十分にあります。

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2019/09/01
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いきなり、大きい字の子どもの手記から始まってちょっとぎょっとした。 叙述トリックなんだろうなあ、これどうやって実際にあったことになるんだろう、と最初から思いながら読んだけど、分かったのはひとつだけだった。 隠された4階っていうのはわくわくする。 でも内情はかなりグロテスクで、なんていうか、耽美みたいなのが足りなくて残念。 御手洗が石岡くんに対して酷い。 石岡くんも御手洗に対するトキメキ?がなくなった風だけど、それより御手洗が酷いし、藤谷を出しちゃったら石岡くん要らなくなっちゃう … 別に面白かったんだけど、なんとなく後味が悪い。

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2019/07/14

『ネジ式ザゼツキー』を高校生のときに読んで、その時の感動をもう一度味わいたいと思い読んでみたのですが… 少し期待外れでした。というのも、謎の提示から1回目の解答までがすごく短く、もっと焦らして欲しいと思います。 謎の手記の書き手を探しに行くのですが、彼らのやっていることがとしても...

『ネジ式ザゼツキー』を高校生のときに読んで、その時の感動をもう一度味わいたいと思い読んでみたのですが… 少し期待外れでした。というのも、謎の提示から1回目の解答までがすごく短く、もっと焦らして欲しいと思います。 謎の手記の書き手を探しに行くのですが、彼らのやっていることがとしても非現実的でちょっと引き気味な姿勢で読んでしまいました。それでもやはり、島田荘司らしい大胆なトリックは好きですね。御手洗の変人キャラも今回かなり濃く描かれていて素敵です。

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2018/10/17
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大学2年から数十年ぶりに読み返した今回は、分析的な読み方を心掛けた甲斐もあって、数々の粗、都合の良さや強引さが目立った。 致命的なのは、インドネシアで殺人を犯す事に、実は何も必然性がない事。これは正に発見だった。 魅力的な謎の創造のために登場人物が踊らされてしまったのだ。これは作者の傲慢さ以外何物でもない。 しかし、数十年経っても色褪せぬ内容と、抜群のリーダビリティは確かに存在した。 読者を愉しませんがための過ちと受取ろう。

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2018/10/15

「占星術殺人事件」を愛読する青年の戦慄すべき日記。そこには荒涼たる世界の終焉が広がり、切断された男と女が合成され両性具有者となって彼に語りかける。醜悪な現実と蠱惑の幻想世界が今、驚天動地のトリックによって大いなる融合をはたす---------新たなミステリーの空域を雄々しく飛翔す...

「占星術殺人事件」を愛読する青年の戦慄すべき日記。そこには荒涼たる世界の終焉が広がり、切断された男と女が合成され両性具有者となって彼に語りかける。醜悪な現実と蠱惑の幻想世界が今、驚天動地のトリックによって大いなる融合をはたす---------新たなミステリーの空域を雄々しく飛翔する島田庄司の圧倒的傑作! ----- 背表紙に書いてあった上記の文章を見たら読まずにいられないでしょう、ヤッパリ。あまりにも突拍子なく強引な推理展開。でも面白かった。細かい部分が結構そそる。

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2018/08/03
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自身の「本格ミステリー宣言」を強く意識して書いたのが本作のようです。 その作風とは、より「詩美性」「幻想性」のある謎の提示と、「精緻な論理的推理」による謎解きがベースになるものの、従来以上に論理性と幻想性サイドを強調すべきとする。 そして以上の経緯が書かれた、綾辻行人氏との対談を含む「本格ミステリー宣言Ⅱ」中の「眩暈が内包していたもの」では次のような話が。 この対談後にあった時綾辻氏が自身の次作のトリック構想について語ったらしく、それが島田氏が10年来温めていた構想(「眩暈」)と同じアイディアだったことから、慌てて本作を書いて発表したらしいのだが、もしそうなら、島田氏も正直に綾辻氏の構想を聞いた時に自分も同じ構想を持っていると言うべきでした。 結果的には綾辻氏の作品(発表年から推測すれば「時計館の殺人」だと)は「眩暈」よりも数か月先行されて発売されたようなのですが・・ では、本作の感想です。 長い。 そして、精神異常者(手記を書いた人間ではない)が真実を語ったようにみせる手法はトリックとしては最低です。 これなら、どんな不可能な状態も創造できます。 どう考えても、彼が宣言した論理性を重んじる本格ミステリーとは程遠いやり口です。 野崎六助氏の解説も難解です、というかミステリー小説を1冊読むのにこんな予備知識を必要とされること自体が興ざめです。

Posted byブクログ

2018/07/29
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いやはや凄い。どう考えても現実とは思えないことを論理的に説明していく。御手洗がこれは事実だと気づくきっかけとなった渦巻きの考察も素晴らしい。なぜ乾燥機がついているのかとかなぜレモンを香織が絞ってあげたのかとか細かいところが全て一つの真実を構成する要素だったなんて。これぞ本格ミステリ。 島田さんの著作は、絶対リアルとは思えない摩訶不思議で非現実的な物事を僅かな隙間から論理で崩していく作品が多い。しかし、それらの中でも特に今回の事件は本格性を強く感じた。

Posted byブクログ