時代小説 五十人集(上) の商品レビュー
竜崎攻「衣通姫恋歌」を収録。 「わらわは昨夜神託を得た……野と山が動くとき、兄弟のうち誰かが亡びる」 母后・忍坂の大中津姫は軽の太子にこう告げた。 忍坂宮からの帰り道、太子は腹心の部下・物部大前宿禰から、葛城円が穴穂王子に近づき、王位の争奪に策謀をめぐらせていることを忠告される...
竜崎攻「衣通姫恋歌」を収録。 「わらわは昨夜神託を得た……野と山が動くとき、兄弟のうち誰かが亡びる」 母后・忍坂の大中津姫は軽の太子にこう告げた。 忍坂宮からの帰り道、太子は腹心の部下・物部大前宿禰から、葛城円が穴穂王子に近づき、王位の争奪に策謀をめぐらせていることを忠告される。大前宿禰が案じているのはこれだけではなかった。太子と美しい妹姫・衣通姫の仲は宮廷内でうわさになりつつあった。 病の父王に代わって飛鳥の宮で政事をとっていた太子のもとに穴穂王子が訪ねてきた。衣通姫が伏せっているというのだ。 「太子にお会いすれば必ずや妹の気持ちは晴れましょう」 大王の側には自分が控えているから、と穴穂王子は太子を送り出した。 しかしそれこそが葛城円の罠であった。太子が留守にした間、父王は謎の死をとげる。 急いで兵を集める太子を穴穂王子の軍が取り囲む。乱戦の後、ただ一騎になった太子は忍坂に住む衣通姫のもとへ向かう…
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