纐纈城綺譚 の商品レビュー
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田中芳樹の中国時代小説。 中国物には珍しい吸血鬼物語ですw 時代は唐の宣宗期(9世紀中盤)。 衰退する大唐帝国の末期に現れた名君・宣宗の統治により、帝国が延命にもがいていた頃、日本僧・円仁が体験した「纐纈城」の謎を追究すべく、三人の男が都・長安へやって来る。 南方の揚州からやってきた二人は武芸者・辛讜と、ほとんど役に立たん親友の李延枢w 長安で出会った若き侠客・李績(二十郎)の素性とは? 主役三人の脇を固めるのは、雑伎団の緑衣の美女や、世間知に長けたすばしこい少年、皇帝が唯一胸襟を開く側近など。 人血で染められた高級布、暗赤色の装束に身を固めた暗殺者集団、おそらく都近くに存在する纐纈城、拐われて血を搾り取られる人々。 人肉を喰らい、人血を飲む謎の一族は、はるか西方からやって来た? 主役三人と主要キャラは歴史上の人物ですが、物語自体はもちろんフィクションw だから歴史小説ではなく、あくまでも時代小説。 ただし、題材は日本の『宇治拾遺物語』の「慈覚大師纐纈城入り給ふ事」であり、遣唐使であった留学僧・円仁(慈覚大師)の物語。 それの唐側での顛末記、といったところでしょうか(^o^) 欲をいえば、敵の一族の出自も描いて欲しかったですねw ニン、トン♪
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はちょこっとホラーな田中芳樹。 少し小さくまとまりすぎかなとも思いましたが、軽く読めて楽でした。 あとはいつも通り描写は綺麗! 『 「花は舞う、大唐の春」 とは、千数百年の後まで伝わる盧照鄰の詩句だが、まず柳絮が飛雪のように天を満たして春を告げる。正確にはこれは花ではないが、次...
はちょこっとホラーな田中芳樹。 少し小さくまとまりすぎかなとも思いましたが、軽く読めて楽でした。 あとはいつも通り描写は綺麗! 『 「花は舞う、大唐の春」 とは、千数百年の後まで伝わる盧照鄰の詩句だが、まず柳絮が飛雪のように天を満たして春を告げる。正確にはこれは花ではないが、次いで桃や梨の花が咲ききそい、晩春ともなれば大輪の牡丹が長安城内を埋めつくす。 ・・・(中略)・・・ 「牡丹は妖艶にして人の心を乱す」 という詩句もある。王叡の作である。 牡丹を追うように、薔薇、芍薬、藤の花が咲き終わると夏。池には蓮の花が開いて涼気をさそい、秋になると菊が香りたって、花の季節の終わりを飾るのである。 』 中国に行きたくなるような文句。だから田中さんは好きです。 キャッチコピーとか書いて欲しいくらい。絶対うまいはず!! あとは王玄策が出てきたのも嬉しかったです。 王玄作というひとはインドの内紛を納めた人です。 友好施設としてインドのマガダ国を訪問したところ、 アルジュナという男が王位を簒奪しており、王玄作の部下も捕らえられてしまったので、 牢から脱出した王玄作はネパールのアムシュヴァルマン王に交渉し、 借りたネパール兵を率いてガンジス川のほとりでアルジュナと戦ったのが概略。 しかも勝利して、ネパール王にも兵を帰し、マカダ国も正当な跡目に継がせたっていうのが。 田中さんも著書で書いてたけどイギリスとかだったら植民地にしてるのに(笑) 時代もあるのでしょうが、好きなんです、王玄作。 こういった面白さが散りばめられてる本でした。
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唐を舞台にした、荒唐無稽の活劇小説。田中芳樹ファンだけど、彼の作品は当たり外れがあって、これは外れ。東映映画の雰囲気でと希望したみたいだけど、コミックでもどうかな〜、人物の肉付けに工夫が必要。専門だから中国の時代考証を入れてしまい、それがまたアンバランスになっている。まぁ、少年向...
唐を舞台にした、荒唐無稽の活劇小説。田中芳樹ファンだけど、彼の作品は当たり外れがあって、これは外れ。東映映画の雰囲気でと希望したみたいだけど、コミックでもどうかな〜、人物の肉付けに工夫が必要。専門だから中国の時代考証を入れてしまい、それがまたアンバランスになっている。まぁ、少年向けに書いたんだろうな〜、でも少年が難しい漢字が多い、こんな本を読むかいな(^^;
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田中芳樹の中国歴史小説。大唐帝国を舞台に繰り広げられるアクションノベル。うしおととらで有名な漫画家・藤田和日郎が挿絵を描いて力強さ5割増し。
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