赤い靴伝説 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
10代のころ、20代も後半になったら誰でも池上季実子になれるんだろうと信じていた。 努力してなれるものでもない、と悟ってからせめてチャーミングな女性になりたいものと思うけど、これもけっこう難しい。 とくに最近、チャーミングな人を見つけるのもなかなか難しいような。 まず、思い浮かぶのが昔から憧れだった阿木曜子。あとはミッツ・マングローブくらい。 ここにきて具体的にその世界を身近に感じたくなり、手にとってみた。 本当は詩集(歌詞)の本がよかったんだけど、見当たらなくて。 中華街、外人墓地、ニューグランド、瀬谷、元町、桜木町のドヤ街、赤レンガ倉庫、磯子、東神奈川。 まだ混沌とした街が残るそこは今より異国の空気がある。 恋人のために身体を売る中華街の少女、生い立ちを偽って夢を見る外人墓地の珠美、ニューグランドで過去の自分を見つめる冴子、六甲で学生時代を想う私と紫苑、横浜に憧れて瀬谷に家を買う笙子、戦地に行く米軍兵士に惹かれつつ歌う明日香。 切ない境遇の女性がどこか幸せに見えるのはなんでなんだろう。 そして幸せに見える女性が抱えてる闇の大きいこと。 物語に登場する彼女たちにプレイバック、イミテーション・ゴールドなんかの歌詞の女性と重なる。 芯がある強さ?したたかさ?せつなさ? ハッピーエンドだからかもしれないけれど、冴子がいちばん好き。 素敵に歳をとりたいな。
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