大森貝塚 の商品レビュー
岩波文庫 ESモース 「 大森貝塚 」 東京の大森に 先アイヌ(アイヌに先立ってこの地に住んでいた原日本人)が のこした貝塚を発見し、そこにどのような生活が行われたか論考 衝撃的なのは 原日本人の食人風習を証明した点。解説では 「食人風習は 稀に儀礼的に行われたものであり、...
岩波文庫 ESモース 「 大森貝塚 」 東京の大森に 先アイヌ(アイヌに先立ってこの地に住んでいた原日本人)が のこした貝塚を発見し、そこにどのような生活が行われたか論考 衝撃的なのは 原日本人の食人風習を証明した点。解説では 「食人風習は 稀に儀礼的に行われたものであり、一般的に行われたものではない」として、著者の主テーマをトーンダウンさせている 著者の結論「日本人が複合民族であることは疑いない〜日本の伝承はすべて彼らが南から渡来したことを示している」は、やっぱりという感じ
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1877年6月18日,アメリカの動物学者E.S.モースが来日。来日直後,横浜駅から新橋駅へ向かう汽車の窓から露出した貝殻層を目撃し,発掘します。この大森貝塚の発見により,日本の考古学は第一歩を記しました。モースの報告書『大森貝塚』(岩波文庫)を少し紐解いた。 昔読んだ時は、まだ...
1877年6月18日,アメリカの動物学者E.S.モースが来日。来日直後,横浜駅から新橋駅へ向かう汽車の窓から露出した貝殻層を目撃し,発掘します。この大森貝塚の発見により,日本の考古学は第一歩を記しました。モースの報告書『大森貝塚』(岩波文庫)を少し紐解いた。 昔読んだ時は、まだお二人とも元気だったのであまり価値が分からなかったのだが、編訳が私が敬愛する近藤義郎、佐原真の両氏なのである。解説はどちらが書いたか明らかにしていないが(多分、佐原氏)、普通の解説には無い情熱のこもった名文であった。例えば、以下の通り。 「大森貝塚」をいまの水準でみれば、物足りない点や部分的な誤りは容易に指摘出来るかもしれない。しかしそのことは、この書物の価値をいささかも減じることは無い。 この研究報告書は決して分厚いものではなく、図版をのぞいて英文で39ページ、日本文で80ページたらずのものである。モースはその中で、貝塚・土器・石器・骨角器・装飾具・土版・動物遺体・人骨・貝類等について、簡潔で要を得た記述を行い、また見事な測図をしめしたが、それだけでなく、ほとんどあらゆる事柄について類例を求め対比を行い理解し解釈しようとする態度を、執拗かつ全面的に展開した。とくに諸遺物の解釈から描き出そうとした大森原始種族および貝類の進化について繰り返し述べる情熱的な叙述は、読む者を圧倒さえする。この書物がなお深い感銘を引き起こすのは、すべてを焼きつくさんとするが如き彼の精神のもっとも鮮やかな表現がそこにあるからにほかならない。 いま日本考古学は年間数百冊厚さ数メートルに達する発掘報告書を生み出し、資料の大海に自ら溺れさせようとしている。加えられているあらゆる状況を考慮せずに述べれば、そこでは画一化と技術主義が支配しようとしている。調査報告とは何かを、いまや「大森貝塚」についてふたたび学ぶ時にきているように思う。(187p) 誤りとは、ここでは縄紋人の「食人習慣」が主張されている。出て来た人骨の跡がそうとしか見えない、というのである。解説によると、追加資料がみいだされず、「いずれとも決定されないまま」になったらしい。「大森貝塚人は、プレ・アイヌ人である」という主張もいまではあまり言われない。 モースの報告書の図版は、現代でも充分通用する正確さを持っており、同時に美しいのである。 やがて、モースが居なくなったあとに、この報告書を超える報告書がでてくるのは、不幸にも50年を待たなくてはならなかった。完成形の土器のみ製図したり、数を数えなかったり、本格的な学問はレベルが下がる。しかし解説者は言う。「モースの方針をそのまま受け継がず、その刺激を間接的に受け止めて独自の熟成を待ったからこそ、良い意味でも悪い意味でもアメリカのものでもヨーロッパのものでもない、日本独自の考古学が育って今日に至っている、ともいえるであろう」 1929年、品川区大井六丁目に「大森貝塚」の碑が建てられた(発掘者は全員ここを大森だと勘違いしていたのである)。遺物の多くは現在大田区立郷土博物館にあるはずだ。12年ほど前に訪れた事がある。驚くほどきれいな、典型的な縄紋土器だった。 付けたしとして、大森貝塚は、現代犯罪捜査に欠かすことのできない「指紋」の発見にも一役買っている。以下05年に読んだ本の感想の冒頭。 「指紋を発見した男」主婦の友社コリン・ビーヴァン 茂木健訳 スコットランド人医者ヘンリーフォールズは、宣教師として日本に滞在中、友人モースを手伝い大森貝塚の発掘に携わっているときに、土器に付いている指のあとの筋から『指紋が犯罪捜査に使えないか』と発想する。指紋が犯罪捜査に与えた役割はとてつもなく大きいものがあったが、それが証拠として採用されるまでにはいろいろなドラマがあった。
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