完全犯罪研究室 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
この著者の本は2冊目だが、私にはすごく面白い。本職であったウイルス学者としての知識を縦横に使い、一般人が知らない専門用語が次々出てくるのに的確な説明で読みやすい。 医学部病理学教室の不合理な慣習や人物像も、おそらく実際に見聞きした事から着想を得ているのだろうと推察される。 あとがきによれば著者は スモン病の原因特定において、当時主流だったウィルス説に敢然と異議をとなえ、精力的な実験を行い、キノホルムが原因である事の特定に大きな役割を果たした人らしい。 この小説の中にも、そうした権威のもとに真相を見誤る人々に対する義憤が 登場人物の言動を通じて見て取れる。 実際にそばにいたら厳しい、気難しい人だったのかもしれないが、この人はなんか好感を持った。他の作品も読んでいきたい。
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