原爆句抄 の商品レビュー

松尾あつゆき(著者),緑川真澄(訳者)

2009/10/04

長崎で被爆され、4人の子どもさんのうち3人、そして奥様をを亡くされた俳人の句集。5・7・5に囚われない自由律の俳句で、ご家族の最期を詠っています。まさに今日知ったばかりの方なのですが、ネット上でいくつかの句を読み、言葉を失いました。いちばん年若い子どもさんは、まだ7ヶ月だったとのこと。赤ちゃんがお骨になった後も、奥様のお乳が張るんです。奥様自身も重傷で、その翌日には息を引き取られるというときに…ここまで命を傷つけられても、母の体というのは、それでも母乳を作り続けるものなのですね。いつか必ず、この句集をきちんと読みたいとは思うのですが、今はまだ、あまりに辛すぎて、取り寄せを頼めずにいます。追：図書館にリクエストして読みました。ネットでは被爆直後の句を読みましたが、その後の「被爆者」の烙印を背負っての長い人生の句も、胸に刺さります。被爆から終戦の日までを綴った手記「爆死証明書」にも、言葉を失いました…。