麒麟 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
表題作の他に「セラピスト」・「東京海亀伝説――純愛篇」を収録。 正直に言うと各作品いずれも理解や把握ができたとは言い難く、江原吉博氏の解説でなんとなく摑めた程度だ。作者は現在ではベテラン声優として認識されているが、俳優/劇作家/演出家としての顔を今回知った。 「麒麟」と「セラピスト」は二者の対立――前者は動物対人間、後者は患者対医師――を描いている。動物たちと人間たち、また患者たちと医師団の会話はほとんど嚙み合わない。相手の話が解らない・相手に話が通じないという事のなんとおかしく、もどかしいことか。個としては無個性・没個性として描かれている彼らが、集団としてはその本性が浮き彫りになる構成もおもしろいと感じた。 「東京海亀-」はほぼコントというかナンセンスな内容で何度も笑ってしまったが、実はそのように狙っているつくりらしい。 とは言え、読み物としては自分にはやや難解だった。実際の公演を観れば或いはより楽しめるのかもしれない。
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