糸川英夫の「人生に消しゴムはいらない」 の商品レビュー
だいぶ前に糸川博士が書いた勉強法の話で、「エンピツはよくない。失敗したら消しゴムで消せてしまうから。失敗の痕跡が残るボールペンを使うのがよい」といったことを書いていた。 その話がそのまま本のタイトルになって出版されたので驚いた。 もともと糸川博士は、中島飛行機の新米の技術者の...
だいぶ前に糸川博士が書いた勉強法の話で、「エンピツはよくない。失敗したら消しゴムで消せてしまうから。失敗の痕跡が残るボールペンを使うのがよい」といったことを書いていた。 その話がそのまま本のタイトルになって出版されたので驚いた。 もともと糸川博士は、中島飛行機の新米の技術者の頃に社内の先輩に失敗の体験を聞いて回るような、「失敗学」に早くから開眼した人。失敗の痕跡を消さないこと、失敗を見つめることの大切さをよく知るからこそ「消しゴムはいらない」の一言がある。 とはいえ、ビジネス書として本書がそれほどよくできたものかというとあまりそうは思わない。 しかし、糸川博士が大戦中の日本の軍用機の設計者であったことから、それらの飛行機の開発にまつわるエピソードは、日本の技術の歴史の上では貴重な資料のひとつであると言える。
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