契丹伝奇集 の商品レビュー
女俑 耀変 蜃気楼三題 青海〈クク・ノール〉 敦煌 掌篇四話 翩篇四話 著者:中野美代子(1933-、札幌市、中国文学) 解説:高山宏(1947-、岩手県、英文学)、池内紀(1940-、姫路市、ドイツ文学)
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中国文学者による中華幻想短編小説集。 主に中国からアラビアにかけて、 我々から見て西方の地域の、 少しあるいは遥か昔の世界を舞台にした奇妙な物語の数々。 例えば澁澤龍彦が書いた小説には、 登場人物に独特の押しの強さがあって、 テーマやストーリー展開がクールな割りには 読んでいて生...
中国文学者による中華幻想短編小説集。 主に中国からアラビアにかけて、 我々から見て西方の地域の、 少しあるいは遥か昔の世界を舞台にした奇妙な物語の数々。 例えば澁澤龍彦が書いた小説には、 登場人物に独特の押しの強さがあって、 テーマやストーリー展開がクールな割りには 読んでいて生身のリアリティが感じられるが、 この本に収録された作品は、 遺跡から発掘された美しい絵空事といった印象。 面白かったけれど、 手が込んでいる割りに物足りない感が否めない。 しかし、 一番好みに合ったのは「掌編四話」と題された、 1981~1982年に『夜想』に掲載された四つの短い話、 特に、遺跡発掘に成功して帰宅した伯爵を 待っていたのは愛妻の死で……という「考古綺譚」。 これは一つ前に配された、やや長めの、 タクラマカン砂漠を越えて遺跡探査に向かう ヨーロッパ人グループの 苦しみを描いた「敦煌」の後日談にもなっていて、 ニヤリとさせられた。 解説が高山宏&池内紀の二本立てという豪華さではある。
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