「私」の心はどこへ行くのか の商品レビュー
哲学者の竹田青嗣と、精神科医の町沢静夫の対談を収録しています。 町沢によるボーダーライン(境界性パーソナリティ障害)についての解説からはじまり、現代の日本における自我のあり方についての問題や、家族や恋人などの人間関係について、主として若者たちに起こっている変化などを論じあってい...
哲学者の竹田青嗣と、精神科医の町沢静夫の対談を収録しています。 町沢によるボーダーライン(境界性パーソナリティ障害)についての解説からはじまり、現代の日本における自我のあり方についての問題や、家族や恋人などの人間関係について、主として若者たちに起こっている変化などを論じあっています。 竹田は、彼の持論である欲望論にもとづくクリアな議論を展開していますが、町沢はみずからの「思想」的な立場を示すことに対しては禁欲的な態度を保っており、臨床体験にもとづきつつ世相の変化についての所感を示しています。こうしたスタンスのちがいは、本書の「まえがき」と「あとがき」で、著者のそれぞれが語っているのですが、読者としてはなかなか議論がガッチリ噛みあってこないもどかしさを感じてしまいます。
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