幽霊たち の商品レビュー
派手な起承転結がある…
派手な起承転結があるわけではないのに、読み出したら止まらない面白さ。でも、よく読むとオースターの思想も伝わってくるし、シンプルなストーリーでここまで楽しめる小説は珍しいです。
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色の名前の付いた人物…
色の名前の付いた人物たちが登場し、主人公「探偵ブルー」が不可思議な世界へ巻き込まれていきます。オースターらしい結末になっています。
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透き通るような、静か…
透き通るような、静かで孤独な小説です。文面がとても美しい。読者に委ねられる部分が多いという印象です。
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何も起こらないことの…
何も起こらないことの緊張感。それ故起こる主人公の思考や葛藤にぐいぐい引き込まれます。翻訳が名文!
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柴田元幸氏の翻訳が絶…
柴田元幸氏の翻訳が絶妙!!読みやすくて不思議な世界。
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登場するキャラには色…
登場するキャラには色の名前がついています。なのに、どうしてか読んでいるとモノクロ映画を見ているような感覚になる。これだけ「色」をイメージさせる世界で色彩を感じず、無声映画を見ているような気にさせられた不思議な作品でした。
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薄くて読みやすそうと…
薄くて読みやすそうという理由で手に取った本だったけど、想像だにしていなかった面白さだった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ポストモダニズムがどうとか、巻末にあった文章のようなことは難しくてわからない。作家たちの歴史を学ぶ必要がある。 ただ単純に、読んで、構造的な面白さが印象深かった。前衛アートのように構造を楽しむものなのかな、と思った。 主人公たる探偵ブルーは、ホワイトに「ブラックという男を監視してほしい」と依頼される。しかしブラックは日がな一日机に向かっていて、外出は散歩程度のものだ。依頼の意図も知らないブルーは焦れて、飽き、やがてホワイトとブラックについて物語を妄想したり、自己について深く考え込んだりする。ついにブラックと接触したブルーは、ブラックもまた誰かを監視するよう依頼された探偵だと知る。 監視する者と監視される者という立場があって、そして監視される者は監視する者でもある。この多層構造が面白い。読みながらここで「読者である私もまた、ブルーを監視している」と気づいた。そして私もまたブルーの小さな考えや変化について想像したり自分を顧みたりするのだ。 この本は章立てがなく、初めから終わりまでずっと続いていく。その作りも面白かった。それに登場人物の名前に個性がないから、私の頭の中の彼らはほとんど同じ顔だ。そういう奇妙さが楽しかった。 あとがき等を読むに、現在形で書くなど、原語では文章の作りも工夫してあるようだ。そのあたりは英語が苦手な自分としてはわからないので勿体無い。それにこれはニューヨーク三部作の2冊目らしく、他を読むと受け取り方が少し変わるらしい。機会があれば読んでみたい。
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鍵はウォールデンである。 ある男を監視する主人公は、男の買ったソローの森の生活を読もうとして挫折する。 ゆっくりと読む、それが主人公の陥った袋小路を打開する唯一の手段。 しかし、その機会を失った事で、停滞していた監視は、主人公を傍観者の立ち位置から巻き込む形で、監視される男へと、...
鍵はウォールデンである。 ある男を監視する主人公は、男の買ったソローの森の生活を読もうとして挫折する。 ゆっくりと読む、それが主人公の陥った袋小路を打開する唯一の手段。 しかし、その機会を失った事で、停滞していた監視は、主人公を傍観者の立ち位置から巻き込む形で、監視される男へと、一種、予定調和の様に集約していく。 ゆっくり読むべきは、我々読者だったのか? この転換は、小説の丁度ど真ん中でピッタリと折り返す様に起き、計算された構成を味わえます。
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ブルーに課せられたのは、ただ机に向かって書き物をするだけのブラックを見張ること。 そのうち、自我が融解してブラックと融合したかのような奇妙な感覚に陥る。 ブラックはブルーの合わせ鏡でもある。 ブルーの視点を通して、わたしたちもブラックを知り、ブルーを知る。 ブラックにとってもブル...
ブルーに課せられたのは、ただ机に向かって書き物をするだけのブラックを見張ること。 そのうち、自我が融解してブラックと融合したかのような奇妙な感覚に陥る。 ブラックはブルーの合わせ鏡でもある。 ブルーの視点を通して、わたしたちもブラックを知り、ブルーを知る。 ブラックにとってもブルーの存在は同じようなもので、だからこそブラックはブルーを殺せなかったのだろうし、そこで怒りに任せてブラックを殺してしまうブルーには狂気すら感じる。 その後、ブルーが正常に戻れることはあるのだろうか。ブラックを失って。
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