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海人と天皇(下) の商品レビュー

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古代の有名な女帝達が…

古代の有名な女帝達が鮮やかに描かれてます。1時期日本は女帝でもって天皇制を守ったのねと、感心してしまいました。

文庫OFF

2014/12/14

下巻では、聖武天皇と光明子、そして2人の間に生まれ、天皇家でもっともスキャンダラスな事件として記憶される孝謙・称徳天皇と道鏡の時世を扱っています。 著者は、道鏡を寵愛する孝謙天皇に、仏教的な平等思想と政治を性急に一致させようとする意図を認め、彼女によって古代の氏姓制度が完全に破...

下巻では、聖武天皇と光明子、そして2人の間に生まれ、天皇家でもっともスキャンダラスな事件として記憶される孝謙・称徳天皇と道鏡の時世を扱っています。 著者は、道鏡を寵愛する孝謙天皇に、仏教的な平等思想と政治を性急に一致させようとする意図を認め、彼女によって古代の氏姓制度が完全に破壊されることとなり、天皇権力の空洞化と藤原氏の隆盛の礎が固まったと論じています。現在に至るまでの日本における天皇の位置が定められたという意味では、元来の意図であった「日本とは何か」という問いに答えるような作品になっています。 下巻の方では、著者らしい大胆な仮説は比較的抑えられている印象です。それでも、藤原不比等の深遠な策略と、持統天皇から孝謙天皇に至るまでの女帝たちの思惑が絡まって、天皇権力の空洞化というこの国の形が定まったという、極めて大きな観点からの考察がおこなわれています。その視野の広さと大胆な議論には、やはり圧倒されるものがあります。

Posted byブクログ