美しい水死人 の商品レビュー
ラテン文学の短編集で…
ラテン文学の短編集です。各編が短いので、あっというまに読み終わってしまいますが、各編がそれぞれ輝きを持った短編です。
文庫OFF
bookmark2の序文で金原瑞人が度々言及していた表題作、ラテンアメリカの"太っちょのおばさん"がそこにはいた。 美しく、気弱で人の良い気丈夫。 その人のために身なりを整え、家を整え、村を整え誇りにする。 とこかにいる美しい水死人のために私は今日もより良い何...
bookmark2の序文で金原瑞人が度々言及していた表題作、ラテンアメリカの"太っちょのおばさん"がそこにはいた。 美しく、気弱で人の良い気丈夫。 その人のために身なりを整え、家を整え、村を整え誇りにする。 とこかにいる美しい水死人のために私は今日もより良い何かであるように努力するのだ。
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訳がよい。読みやすい。 アランダ司令官の手」 アルフォンソ・レイエス La mano del comandante Aranda Alfonso Reyes 「波と暮らして」 オクタビオ・パス Mi vida con la ola Octavio ...
訳がよい。読みやすい。 アランダ司令官の手」 アルフォンソ・レイエス La mano del comandante Aranda Alfonso Reyes 「波と暮らして」 オクタビオ・パス Mi vida con la ola Octavio Paz 「犬が鳴いてないか」 ファン・ルルフォ No oyes ladrar los perros Juan Rulfo 「生活費」 カルロス・フェンテス El costo de la vida Carlos Fuentes 「カナリアとペンチと三人の死者のお話」 ホルヘ・イバルグエンゴイティア Cuento del canario, las pinzas y los tres muertos Jorge Ibarguengoitia 「包誠による歴史」 サルバドール・エリソンド La Historia seger Pao Cheng Salvador Elizondo 「遊園地」 ホセ・エミリオ・パチェーコ Parque de diversiones Jose Emilio Pacheco 「ミスター・テイラー」 アウグスト・モンテローソ Mr. Taylor Augusto Monterroso 「美しい水死人」 ガブリエル・ガルシア=マルケス El ahogado mas hermoso del mundo Gabriel José Garcia=Márquesz 「記章」 フリオ・ラモン・リベイロ La insignia Julio Ramon Ribeyro 「薔薇の男」 マヌエル・ローハス El hombre de la rosa Manuel Rojas 「閉じられたドア」 ホセ・ドノーソ La puerta cerrada Jose Donoso 「羽根枕」 オラシオ・キローガ El almohaden de plumas Horacio Quiroga 「水に浮かんだ家」 フェリスベルト・エルナンデス La casa inundada Felisberto Hernandez 「旅行者―1840年」 マヌエル・ムヒカ=ライネス La viajera '1840 Manuel Mujica-Lainez 「パウリーナの思い出に」 アドルフォ・ビオイ=カサーレス En memoria de Paulina Adolfo Bioy Casares 「山椒魚」 フリオ・コルタサル Axolotl Julio Cortázar
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[関連リンク] 完璧な短篇、完璧な短篇を書くための十戒「美しい水死人」: わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる: http://dain.cocolog-nifty.com/myblog/2011/08/post-e389.html
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どうして海岸に水死人が漂着しただけで、海辺の村の人たちは勝手にいろいろと想像し、水死人の持っていたアクセサリーを盗ったりして、幸せな気分になっているんだろう、不思議な話だな、と思っていました。 この謎が解けたのは小松和彦の『異人論』を読んだ時でした。 日本にも同じような構図...
どうして海岸に水死人が漂着しただけで、海辺の村の人たちは勝手にいろいろと想像し、水死人の持っていたアクセサリーを盗ったりして、幸せな気分になっているんだろう、不思議な話だな、と思っていました。 この謎が解けたのは小松和彦の『異人論』を読んだ時でした。 日本にも同じような構図の話がたくさんあって(村に迷い込んだ坊主を金銭目当てに殺しちゃうとか)ああ、これが「マレビト」ということなんだと納得しました。 要するに閉鎖された村社会に富をもたらすのは外から来る異人であって、富を村に残すにはその異人さんが死んでしまうか、殺されてしまうかしてくれないと辻褄が合わないということです。 横溝正史の『八つ墓村』も同じ構図ですね。 と自分は思いましたが、果たしてガルシアマルケスがそれを意図して書いたかどうかはわかりません。 この他にも不思議な話がたくさんあるので、おすすめです。
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アランダ司令官の手(アルフォンソ・レイエス)、波と暮らして(オクタビオ・パス)、犬が鳴いてないか(フアン・ルルフォ)、生活費(カルロス・フエンテス)、カナリアとペンチと三人の死者のお話(ホルヘ・イバルグエンゴイティア)、包誠による歴史(サルバドール・エリソンド)、遊園地(ホセ・エ...
アランダ司令官の手(アルフォンソ・レイエス)、波と暮らして(オクタビオ・パス)、犬が鳴いてないか(フアン・ルルフォ)、生活費(カルロス・フエンテス)、カナリアとペンチと三人の死者のお話(ホルヘ・イバルグエンゴイティア)、包誠による歴史(サルバドール・エリソンド)、遊園地(ホセ・エミリオ・パチェーコ)、ミスター・テイラー(アウグスト・モンテソーロ)、美しい水死人(ガルシア=マルケス)、記章(フリオ・ラモン・リベイロ)、薔薇の男(マヌエル・ローハス)、閉じられたドア(ホセ・ドノーソ)、羽根枕(オラシオ・キローガ)、水に浮かんだ家(マヌエル・ムヒカ=ライネス)、パウリーナの思い出に(アドルフォ・ビオイ=カサーレス)、山椒魚(フリオ・コルタサル) 内容が濃いなあ、こうやって見ると…… 「犬が鳴いてないか」がすき。荒くれ息子が悪事を働いて怪我を負う。老人はそれを背負って町を抜け出し、山を越えて助けてくれそうな村を探す。心理描写がない。全部台詞で説明するのに、老人の言葉には嘘がある。本当は息子が心配でたまらないのに、それを決して言わない老人の頑固さと物悲しさがすてき。あと、月の描写がすてき。 水死人は二回目。最初は ほ? て感じだったが、読めば読むほど、気になる。
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幻想的な色彩の強い短編を中心に集めたアンソロジー。 なかなかの良編が収録されており、ラテンアメリカ文学が世界的に有名になるきっかけとなったのはその独特の幻想的な作風ゆえなので、本書はラテンアメリカ文学の入門には丁度いいかもしれない。以下、各編の感想。 「アランダ司令官の手」(ア...
幻想的な色彩の強い短編を中心に集めたアンソロジー。 なかなかの良編が収録されており、ラテンアメリカ文学が世界的に有名になるきっかけとなったのはその独特の幻想的な作風ゆえなので、本書はラテンアメリカ文学の入門には丁度いいかもしれない。以下、各編の感想。 「アランダ司令官の手」(アルフォンソ・レイエス) 戦争で片手を失ったアランダ司令官。その右手を保管しておいたところ、何と手が生命をもって動き回り始めた…。なかなか幻想的でユーモア溢れる話だけど、意外と黙示録的な雰囲気があって良い感じ。★★★★ 「波と暮らして」(オクタビオ・パス) 海水浴から帰ろうとしたら、一つの波がついて来た。波との生活を始めるが…。全体としては女性を理解できない男の話かな?意外と普通な展開だった。しかし、部屋の詩的な描写は素敵だった。★★★ 「犬が鳴いていないか」(フアン・ルルフォ) マチズモがテーマかな。何だかんだ似た者親子なのかもしれん。これは杉山晃の訳の方が良かったかな。★★★ 「生活費」(カルロス・フエンテス) メキシコ社会の貧乏夫婦の悲劇。教師の給料が遅配ってのは途上国だとよくある話らしい。メキシコってやっぱ危ない所なんだなあ。★★★ 「カナリアとペンチと三人の死者のお話」(ホルヘ・イバルグエンゴイティア) 泥棒や詐欺師まがいの乞食どもに、そうと分かりつつも施しを続ける「ぼく」。したたかな貧乏人たち。しかし、そういった犯罪者より警察のほうが危険だから警察は呼ばないって…(苦笑)。★★★ 「包誠による歴史」(サルバトール・エリソンド) 古代中国の思想家、包誠が幻視した未来。これはたった4ページでビリッとくるいい短編。俺があいつを生み出したのか?あいつが俺を生み出したのか?この無限循環。★★★★★ 「遊園地」(ホセ・エミリオ・パチェーコ) 遊園地をめぐる不条理な出来事の連作短編。かと思いきや、こちらも入れ子構造のどんでん返し。円環的な物語。「包誠による歴史」に似てるが、切れ味の点で劣るかな。★★★★ 「ミスター・テイラー」(アウグスト・モンテローソ) アマゾンの密林で“干し首”ビジネスを行っていた男の盛衰記。何とも奇妙な事業とそれが現地に引き起こした発展と混乱が読んでいて面白い。南米の現代史のデフォルメにもなってる。★★★★★ 「美しい水死人」(ガブリエル・ガルシア=マルケス) 浜辺に巨大な水死体が打ち上げられるが、そのあまりの美しさに村人は心を捉えられる。なんだかよく分からんが、雰囲気は良かった。★★★ 「記章」(フリオ・ラモン・リベイロ) ゴミ捨て場で拾った記章が縁で、人生が一変した男の話。結局男は何で自分が祭り上げられたか分からないんだけど、歴史上の指導者と呼ばれる人たちの中にも、きっとこういう感覚の人はいたに違いない。★★★★ 「薔薇の男」(マヌエル・ローハス) ある神父のもとに、一人の男が黒魔術を行なったと告解してきた、その言は本当か? 西洋が持ち込んだ宗教が、土着の民間信仰に打ち負かされた瞬間。★★★ 「閉じられたドア」(ホセ・ドノーソ) いつも眠ってばかりいるセバスティアン、彼の目的は夢の世界の秘密を理解することに全てを賭けるが…。どちらともとれる結末。だが俺は、結局彼は何も発見できなかったに一票。★★★ 「羽根枕」(オラシオ・キローガ) 新婦が新婚生活間もなくして衰弱死してしまった。その驚くべき原因とは…。ラテンアメリカの驚異的な現実ってヤツですな。もっと精神的なものを期待していただけにオチはちょっとガッカリ。★★ 「水に浮かんだ家」(フェリスベルト・エルナンデス) 「ぼく」はあるお屋敷に雇われることになったが、そこの夫人は自らの屋敷を人工湖に浮かべていた。その理由とは…。個人的には結局心に傷を負った人間の迷妄にしか思われなかったけど、もうちょい深い意味があったのかな?★★★ 「旅行者―1840年」(マヌエル・ムヒカ=ライネス) 倦怠期にある夫婦の田舎屋敷に、魅力的な都会の女性がやってきて新鮮な空気を送り込んだ。その結果…。 いや、自分の将来の姿を見せられたようでゾッとした。冗談抜きで(笑)。★★★ 「パウリーナの思い出に」(アドルフォ・ビオイ=カサーレス) 幼少からの想い人を取られて絶望した主人公は海外へ留学することにする。二年後に帰郷した時、思いもかけない出来事が…。著者の長編『モレルの発明』にも通ずるこの幻影のアイデアは、何度読んでも面白い。『モレルの発明』も読んだというのに、今度も結末を読んだ時に思わず膝を打った。★★★★★ 「山椒魚」(フリオ・コルタサル) 山椒魚に魅入られた男が、気づけば山椒魚になってしまったという話。想像力が豊かすぎる人間はご用心ご用心。★★★★
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