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森有正の日記 の商品レビュー

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2019/04/01

創元社の編集者として、また中渋谷教会の牧師として、森有正と交流した著者が、『森有正全集』第13・14巻に収録されている日記を読み解いている本です。 著者は、森の思索の流れが語られている『バビロンの流れのほとりにて』『流れのほとりにて』『城門のかたわらにて』の三作品と、のこされた...

創元社の編集者として、また中渋谷教会の牧師として、森有正と交流した著者が、『森有正全集』第13・14巻に収録されている日記を読み解いている本です。 著者は、森の思索の流れが語られている『バビロンの流れのほとりにて』『流れのほとりにて』『城門のかたわらにて』の三作品と、のこされた日記とのあいだに日付の重複がないことから、これらの作品と日記とを連続させて読むことができるとしつつも、ただちに両者を同一の作品とみなすのでもなく、「両者を一応きりはなして省察したい」と語っています。ここには、日記の叙述を通して、森の「経験」の地下水脈をたどろうとする著者の意図が示されているように思います。 デカルトやパスカル、ドストエフスキーといった、森の思索をみちびいた思想家たちとの対話だけでなく、道元やユングなど、森が関心を寄せた意外な思想家についても触れられており、興味深く読みました。また、森の思想における「経験」と「死」の関係など、重要なテーマも掘り起こされています。

Posted byブクログ