幕末維新懐古談 の商品レビュー
西郷隆盛の銅像を作っ…
西郷隆盛の銅像を作った高村光雲の回想録。やはり当事者の言は興味深いですね。
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西郷隆盛銅像の製作者…
西郷隆盛銅像の製作者としても知られる著者の自伝的回想録。彫刻家として有名になるまでの話などが描かれている。
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幕末の嘉永5年(1852年)に下谷で生まれた木彫家の高村光雲が自分の人生を大正11年に振り返って、息子の高村光太郎と小説家の田村松魚の二人に語った事を綴った一冊。 子供の頃の江戸時代の床屋や湯屋の様子、慶応元年の浅草の大火事の様子、修行時代の徒弟制度やその時代の生活、幕末乱世の打ち壊しの様子、上野戦争、明治維新の神仏混淆廃止による廃仏棄却で本所の五百羅漢が廃棄される様子など、幕末から明治初期に起こった事件についての生々しい体験は非常に興味深い。 また牙彫が全盛の中、一人木彫にこだわり弟子を育て木彫の技術を育て発展させていった彼の貢献は計り知れない。 その過程での岡倉覚三(天心)との関わり、彼の代表作である楠公像や老猿の作成秘話は面白い。
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岩波文庫 高村光雲 幕末維新懐古談 自伝的エッセイ 師匠とのエピソードは 心温まる。師弟関係のイメージが変わった。光雲の徴兵を避けるために師匠が奔走したり、光雲の作品に対する雑音を遮断したり、師匠が弟子の修行の場を守っている感じ 象牙彫全盛の時代に木彫に固執した話は プロ...
岩波文庫 高村光雲 幕末維新懐古談 自伝的エッセイ 師匠とのエピソードは 心温まる。師弟関係のイメージが変わった。光雲の徴兵を避けるために師匠が奔走したり、光雲の作品に対する雑音を遮断したり、師匠が弟子の修行の場を守っている感じ 象牙彫全盛の時代に木彫に固執した話は プロ意識を感じる「師匠から小刀を譲られて、今さら生計のために家業の木彫りを捨てられない」 彫刻家 石川光明 や彫工会のエピソードは、芸術家の孤独というイメージを変える。共生や多様性を感じる 楠木正成像、狆、矮鶏、老猿などの作品のエピソードは 図書館で借りた作品集を見ながら 読んだ。受託して製作するスタイル。写生するように木彫する様子は 3Dプリンターのよう
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田中修二さんの『近代日本彫刻史』で知ってすぐに読んだ。高村光雲が彫刻家になってからの回顧談だが、江戸期の仏師や石工のあり方が知れてとても有難い。
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幕末に誕生し、維新期に青年時代を迎えた仏師・彫刻師高村光雲。彼から見た江戸・東京の幕末維新の模様を自伝的に叙述する本書。廃仏毀釈、明治初期の博覧会の実像、江戸浅草大火の模様など、世相が急展開する当時の生活史・社会史の一面を切り取った自伝と見うるもの。また、当時の西洋美術・彫刻の流入とそれへの対峙、西洋への輸出品に関わるだけでなく、日用品の販売にも関与した著者の市井目線が他書とは違う時代像を醸し出す。1995年(底本1929年)刊行。
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日本が江戸時代から明治時代に転換する時代に生きた、高村光雲という彫刻家の回顧録です。この時代って本当に日本が大きく動いた時代で、すごく劇的な事件とか、映画や小説になったようなシーンが数多くあったと思うのですが、光雲さんが語るのは「世の中が何か動いているなあ」と思いながら、そこそこ...
日本が江戸時代から明治時代に転換する時代に生きた、高村光雲という彫刻家の回顧録です。この時代って本当に日本が大きく動いた時代で、すごく劇的な事件とか、映画や小説になったようなシーンが数多くあったと思うのですが、光雲さんが語るのは「世の中が何か動いているなあ」と思いながら、そこそこに平凡な激動を生きた市井の物語です。この時代、スポットをあてるならあてるべき事件がたくさんある。そんな中、ここに当てたかー!という感じの本です。 東京の、行ったこともある知っている地名がたくさん出てくるけれど、描写されている町の風景はちっとも知っているものと一致せず、想像もつかない。たかだか100年ちょっとで、東京はこんなに変わったのだなあと、驚きます。でも上野に美術館がある理由が少し分かった気がして、時代のつながりも感じました。 『ところが、その博覧会というものが、まだ一般その頃の社会に何んのことかサッパリ様子が分からない。実にそれはおかしいほど分からんのである。今日ではまたおかしい位に知れ渡っているのであるが、当時はさらに何んのことか意味が分からん』というくだりで笑ってしまったのですが、読んでいる私もまた、光雲さんが当然のように出してくる「かっぽれの小屋」だの「毛抜き屋」だのが何のことだか分からないのです。100年後には私が当たり前に使っている言葉も、分からなくなるのだろうなあ、と思いました。カセットテープとか、ポケベルとかね。 私はアートのことはよく分かりませんが、光雲さんの彫ったものは直接この目で見てみたいと思いました。大勢の著名な芸術家も登場したので、今後日本の美術を鑑賞する機会があれば、また違った視点で楽しめる気がします。
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高村光太郎の父で彫刻家、高村光雲が、若かりし日の幕末を回顧する。 当時の美術界のことから、縁日の商売のことまで幅広いです。
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