江戸東京学への招待(1) の商品レビュー
時代を映す鏡の役割を果たしているものは様々だ。古地図、浮世絵、写真など。 古本市に行くと、昔の絵はがきを売っていることがある。国内外の観光名所のような定番から美人と言ったテーマもある。 「絵はがきは、忘れられたメディアであると言ってもいいと思います」と述べているの...
時代を映す鏡の役割を果たしているものは様々だ。古地図、浮世絵、写真など。 古本市に行くと、昔の絵はがきを売っていることがある。国内外の観光名所のような定番から美人と言ったテーマもある。 「絵はがきは、忘れられたメディアであると言ってもいいと思います」と述べているのが、東京大学人文社会系研究科助教授で、専攻分野が歴史社会学・社会調査史の佐藤健二。 日露戦争が起こった頃、絵はがきが大ブームになったそうだ。そして、関東大震災のような自然災害を扱った絵はがきも発行された。 はがきが存在するには理由があった。佐藤は次の3点を挙げている。 1.郵便という新しいシステム 2.そのシステムに加わった簡便なコミュニケーション 3.記念切手などとも共通する、記念イベント的色彩 郵便というシステムがないと始まらないし、何かを記念したものであれば欲しいという人も出て、コレクションをする人もいるので、絵はがきに需要が出る。 絵はがきが成立するためには、「あるていど、郵便制度の使い方のなかに遊びの部分が出てこなければならない 」と述べている。 「美人絵はがき」は、日露戦争にひとつの起源がある言われているそうだ。 一見すると関係なさそうだが、慰問と称して戦地に芸妓をモデルにした美人絵はがきが送られて、もてはやさてて、戦後も続いて、大正の中期以降になると、映画女優が台頭して、ブロマイドの文化になると指摘している。 戦場に行くのは若い男性で、癒やしが欲しくなれば、絵はがきでもいいから美人を見て目の保養をしたくなる。 実際に古本祭りで見た戦前の美人絵はがきの美人は、今と違い、浮世絵のような人が美人だったようだ。 この他にも博覧会、江戸のおんな、江戸の名所など、東京と江戸の歴史を様々な視点から見ていて興味深い。
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