沈黙の王 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
言葉を喋れない商の王子(高宗武丁)が苦難の末、文字を創造する過程を描いた「沈黙の王」、夏王朝初期、権謀術数を尽くして天下を取ろうとする男を描いた「地中の火」や周王朝の興亡と悪女と呼ばれる褒姒を描いた「妖異記」、周王朝没落の中生き残りをかける鄭の国の秘策を描く「豊穣の門」、晋王朝の太傅、叔向の婚姻を描く「鳳凰の冠」などの夏王朝や周王朝での短編が収録されている。 「妖異記」での笑わない王妃褒姒の最後の笑いはなかなか怖かった。 「鳳凰の冠」での叔向の母、叔姫の気の強さは反面教師としなくては。
Posted by
一般的な小説として読むと、ちょっと物足りないと感じるが、歴史をフィクションを交えてかみ砕いて話してもらうと考えると、ちょうどよい。表題にもなっている沈黙の王が一番おもしろかった。
Posted by
中国の歴史小説をあまり読まないのですが、紀元前10世紀を舞台に活き活きと物語を展開する作者の力量に目をみはりました。おそらく、文字(漢字)の起源をテーマとしているので文献なども少なくというよりほぼない状況であるわけで、立派としかいいようがない。 他の短編も登場人物の個性が光る一...
中国の歴史小説をあまり読まないのですが、紀元前10世紀を舞台に活き活きと物語を展開する作者の力量に目をみはりました。おそらく、文字(漢字)の起源をテーマとしているので文献なども少なくというよりほぼない状況であるわけで、立派としかいいようがない。 他の短編も登場人物の個性が光る一品です
Posted by
象形文字の漢字を創造した古代中国、商の時代の物語が表題作である。象形文字イコール表意文字ではなく、漢字は表語文字と言うらしい。文字自体が形態素の発音を表しているからなのだとか。漢字と仮名文字から成る日本語は表意と表音の組み合わせなので、文字界のコウモリ的存在なのかもしれない。遥...
象形文字の漢字を創造した古代中国、商の時代の物語が表題作である。象形文字イコール表意文字ではなく、漢字は表語文字と言うらしい。文字自体が形態素の発音を表しているからなのだとか。漢字と仮名文字から成る日本語は表意と表音の組み合わせなので、文字界のコウモリ的存在なのかもしれない。遥か昔のおはなしなのでファンタシジー小説の趣がある。
Posted by
面白かったけど星三つなのは、この方の文章は疲れている時に読むとどうしても目が字面を滑っていってしまうから……。そんな私的事情はさておき、美姫・妖姫に絡ませつつの短編五本、良作揃いでした。特に好きなのは「豊穣の門」。鄭公の人となりに、こんな人が民の上に立ってくれたらと思わずにはい...
面白かったけど星三つなのは、この方の文章は疲れている時に読むとどうしても目が字面を滑っていってしまうから……。そんな私的事情はさておき、美姫・妖姫に絡ませつつの短編五本、良作揃いでした。特に好きなのは「豊穣の門」。鄭公の人となりに、こんな人が民の上に立ってくれたらと思わずにはいられませ。
Posted by
相変わらず宮城谷さんの物語は面白い。下手すると司馬遼太郎より好きかも、と最近思い始めた。折に触れ読み直したい短編集だなーとか思った。
Posted by
収録作品のタイトルと主人公 沈黙の王:言語障害ゆえに追放された商(殷)王朝の王子・子昭。苦難の旅の中で賢臣を得、帰国して即位、甲骨文字をつくった後の高宗武丁(周王朝22代) 地中の火:夏王朝初期、中国で最初に弓矢をつくり射撃の名手であった后羿(こうげい) 妖異記:周王朝・幽王に...
収録作品のタイトルと主人公 沈黙の王:言語障害ゆえに追放された商(殷)王朝の王子・子昭。苦難の旅の中で賢臣を得、帰国して即位、甲骨文字をつくった後の高宗武丁(周王朝22代) 地中の火:夏王朝初期、中国で最初に弓矢をつくり射撃の名手であった后羿(こうげい) 妖異記:周王朝・幽王に忠誠を尽くした徳望の人、名君といわれた鄭公・友(ゆう) 豊饒の門:友の子掘突(くつとつ)。「妖異記」と同じ時代を描く。 鳳凰の冠:晋の名臣、叔向(しゅくきょう)
Posted by
日本からの飛行機の中で読了。 古代中国の話なんだけど、古代まで話がいくと幻想的になる。 それこそ妖怪が棲んでいそうな。 宮城谷全部読んでみるのもいいかもな。
Posted by
名言集ファンタジーであります。 妖艶な美女が魅力的。 「偉大な学問の師とは この広大な天地であるということが わかってくるのです。」 この言葉に強く共感した。 そして、一番身近な天地自然は わが身、わが心だとも思った。 次は夏姫春秋を読んで そしたら重耳を読む予定。
Posted by
0303 純粋に、素直に面白いと思った1冊。 一番興味を持ったのは鳳凰の冠。 叔向について詳しく調べたいなと思った。 0715再読中 0726読了 やっぱり2回目でも鳳凰の冠が好き。
Posted by