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背中のない日本 の商品レビュー

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2018/03/10

文章を読む。いかにも『知の巨人』の発言。 その奥行きの深さに驚く。 「知識」とは、かくのごとく展開することが必要である。 まだ、松岡正剛の広がりをつかめないでいる。 テーマ自体が、「背中のない日本」 という卓越した表現力を持っている。 日本が、見えないのだ。 はっきりとした主張...

文章を読む。いかにも『知の巨人』の発言。 その奥行きの深さに驚く。 「知識」とは、かくのごとく展開することが必要である。 まだ、松岡正剛の広がりをつかめないでいる。 テーマ自体が、「背中のない日本」 という卓越した表現力を持っている。 日本が、見えないのだ。 はっきりとした主張のない日本人は、 その曖昧さが故に、成り立っているところがある。 矛盾を受け止める能力があることが、 日本の良さかもしれない。 その上で、 「日本をわかりやすく説明することが困難になっている」 「日本人は、他者(非自己)によって自己を安定させている」 植物形態学者でもあったゲーテは、面影物質があるとさえ考えていた。 世代をまたがり体の中を旅する遺伝子のような面影物質とは別に、 環境や文化を旅する遺伝子のようなものもあるに違いない。 松岡正剛は、「フラジリティ」(こわれやすいもの)が、 大切であるという。 「われわれは、自分のどこかの隅に「弱さ」とか 「もろさ」というものを飼っている。 これは内なるハンディキャップに似たものだ。 またそれを感じあえるフラジャイルな相手が欲しいとも思っている」 と指摘している。 やるせない、せつない、はかないという感覚は、 大切なものであり、 「弱々しさを」大事にして、 「強がり文化」は、もう飽いてきたともいっている。 「壊れ物注意」の思想が大切だという。 人間のもつ違う力なのかもしれない。 貝原益軒はいう。 「腹を冷やさず、腹八分、よくかみよく眠って、糞をためるな。」 松岡正剛はいう今日の企業はカニ化しつつある。 どうも「甲羅」が邪魔になってきた。 たしかに本来の生きた組織とは グニャグニャしたものであるはずだ。 生物はこの弱みを克服するにあたって、 外側に殻をつけるか(外骨格)、 内側に骨を通すか(内骨格)、主に二つの戦略を用意した。 貝、カニ、カブトムシは外側に「殻」をつくり、 魚類や鳥類やほ乳類は内側の「骨」を選んだ。 そして進化系統樹ではそれぞれの頂点に、 昆虫と人間が君臨した。 カニは陸に上がって昆虫になることで大いに栄えたのである。 企業家たちはどうするすべきなのか。 サイズをどうするか、 骨を外におくのか内におくのか、 その間係が一番の要点である。 とても面白い視点である。 企業は、カニになって、まわりからの攻撃に耐えてきた。 そして、カニの内部では、秩序が保たれてきた。 しかし、脱皮する時期を誤ると大きな損失、死に至らしめるのだ。

Posted byブクログ