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谷恒生(著者)
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天下に威容を誇った大坂城の天守閣は、絢爛たる火焔の衣裳をまとって灼熱の光輝を氾濫させている。「お城は最後が一番美しい。これぞ、滅びの美学というものでありましょう」茶々はうっとりと微笑んだ。―ぶすぶすと余燼のくすぶる広大な焼跡に、無数の鴉が群れ、焼けただれた死肉をついばんでいる光景は、不気味な静謐ともいうべき地獄絵だった。
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