蒼氓の大地 の商品レビュー
第13回講談社ノンフィクション賞。 大正時代にブラジルに移民した人たちの、数代に渡るノンフィクション。 数年ブラジルで働けば大金を持って帰国できるはずだったブラジル移民計画も、ふたを開けてみればコーヒー農場での仕事はきつく、お金は貯まらない。慣れない土地で米を作ったり、疫病にかか...
第13回講談社ノンフィクション賞。 大正時代にブラジルに移民した人たちの、数代に渡るノンフィクション。 数年ブラジルで働けば大金を持って帰国できるはずだったブラジル移民計画も、ふたを開けてみればコーヒー農場での仕事はきつく、お金は貯まらない。慣れない土地で米を作ったり、疫病にかかったりしながら生き抜いていく移民。 彼らにとってみれば、日本とはいつか帰るべき祖国。しかし帰国の具体的な策がないまま、歳をとり、家族は増えていく。ブラジルで生まれ育った二世三世にとってはもはや日本は祖国ではなく、現地人と結婚したりもする。 「二、三年で帰る」はずがそのまま30年以上経ち、異国で敗戦を迎え、亡くなっていった人たちの無念を思うとせつない。
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