フランス革命の文化的起源 の商品レビュー
本書は、フランス革命の知的起源は啓蒙主義であるという周知の見解を作業仮説として設定しながら、様々な観点から分析を進め、革命の起源としての啓蒙主義という理解に疑問を突きつけると同時に、革命を近代化というより巨大なプロセスのなかに位置づけようとする研究である。シャルチエは、フュレ以降...
本書は、フランス革命の知的起源は啓蒙主義であるという周知の見解を作業仮説として設定しながら、様々な観点から分析を進め、革命の起源としての啓蒙主義という理解に疑問を突きつけると同時に、革命を近代化というより巨大なプロセスのなかに位置づけようとする研究である。シャルチエは、フュレ以降の修正派のフランス革命論や修正派が依拠するトクヴィル、コシャンの革命観を踏まえながら、そうした仮説も伝統的学説とともに批判的に吟味していく。そのなかで、啓蒙主義が全体社会に対してもった影響力が相対化されるとともに、全体社会において、17世紀以降生じた様々な潮流――宗教の威信の低下、国王の聖性の剥奪など――が革命を受け入れ可能なものとする「条件」を作り出していたのである、と主張する。近代国家・近代社会の形成とフランス革命を主題化する人にとって、非常に参考になる研究であろう。
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