アート・ウォッチング(2 近代美術編) の商品レビュー
この本は素晴らしい。読者は、擬似的に頭をフル回転させた美術館巡りができる。鋭くも柔らかい解説は、読者の感性を高めてくれると同時に、全く気づかなかった鑑賞方法を提案してくれる。個人的には、筆の方向や塗り方、細部の形態などを注視し、何を書き表そうとしているかを観察する著者の態度は勉強...
この本は素晴らしい。読者は、擬似的に頭をフル回転させた美術館巡りができる。鋭くも柔らかい解説は、読者の感性を高めてくれると同時に、全く気づかなかった鑑賞方法を提案してくれる。個人的には、筆の方向や塗り方、細部の形態などを注視し、何を書き表そうとしているかを観察する著者の態度は勉強になった。なお、収録された絵画はどれも国内美術館のものだが、とても発色が良い。表層的な評価かもしれないが、美術本ではこういう部分が大事だと思う。また、著者2名(中村英樹、谷川渥)の巻末の小論は、少しばかり難しめだが、一流の内容で読みごたえアリ。 本書は、同シリーズの「アート・ウォッチング現代美術編」と並ぶ、充実した内容を誇るといえよう。 (なお、「現代アート辞典」の谷川渥は読みづらくてかなわなかったが、こちらは読者に寄り添い啓発しようという意気込みを感じられ、氏の思想の一端に触れることができる。)
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