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ダーティ・ウィークエンド の商品レビュー

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2010/02/07

 ベラ。非力で、痛みやつらさを好まず、心根が優しい。娼婦をしていたこともある彼女。男に買われることは嫌いではなかった。お金が必要だった。ベラは男たちにいいように扱われ、そして自身もそれを受け入れた。楽だったからだ。しかし、自殺とかそういう類は、おこなわない。自分の名前が誰にも知ら...

 ベラ。非力で、痛みやつらさを好まず、心根が優しい。娼婦をしていたこともある彼女。男に買われることは嫌いではなかった。お金が必要だった。ベラは男たちにいいように扱われ、そして自身もそれを受け入れた。楽だったからだ。しかし、自殺とかそういう類は、おこなわない。自分の名前が誰にも知られず、この世から消えさることは、哀しいことだ、と理解しているからだ。  なんの変哲もないフラットの、地下に住んでいる。光はあまり当たらない。おかげで視力は弱くなってきている。屋外に出ると、ますますそれを確信する――ぼんやりとかすみがかるのだ。  朝、ポストに投げ入れられる無料の広告を読むのが好きな彼女。コーヒーを沸かし、それを読む。外の世界のことを知ることができるからだ。彼女は本が好きなのだ。  ある日、彼女のもとに電話がかかってくる―――知らない男から。彼は、ベラを見下ろしていた。卑猥な言葉を投げかけ、ベラを言いなりにさせようとする。この男が外から眺めてくるせいで、カーテンを一日中閉めっぱなしにするはめになってしまった。  彼女は悩んだ。悩みに悩みぬいて、あるとき散歩に出かけ――ある占い師、というよりかはセラピストのような人間に出会った。彼に出会い、彼女は変わる。  彼女はいままで、虐げられる側だった。子羊だった。だが、今は違う。彼女は、狼になることを決意したのだ。「喰われる側か、喰らう側か。どちらかしか選ぶことはできない」。だから彼女は決断した。喰らう側になると。  一人の、か弱い女性が、いままで自分を見下ろし、押さえつけ、いいようにもてあそんできた男たちに、復讐する物語。  人は、いとも簡単に変わる。いや、ベラだからこそ――。彼女を甘く見てはいけない。彼女はしたたかで、強く、美しいのである。

Posted byブクログ