二百回忌 の商品レビュー
お墓、法事、ウンコもらした同級生の思い出、故郷。非常に私的かつ土着的なモチーフやエピソードを使って、神話的スケールで荒々しくも爽やかに脳内を駆け抜ける、夏の台風のような笙野頼子ワールド。いやー面白い。素晴らしい。 『ニ百回忌』はとにかくすべてが最高だった。都市生活者でもたまに地...
お墓、法事、ウンコもらした同級生の思い出、故郷。非常に私的かつ土着的なモチーフやエピソードを使って、神話的スケールで荒々しくも爽やかに脳内を駆け抜ける、夏の台風のような笙野頼子ワールド。いやー面白い。素晴らしい。 『ニ百回忌』はとにかくすべてが最高だった。都市生活者でもたまに地方に帰って出席せねばならない法事。その際に感じる、伝統の訳のわからなさ、普段話さないような親戚たちとの交流のぎこちなさ、本家分家のしんどさ、それでも感じるなぞの一体感を、笙野頼子先生ならばこんなに面白く楽しく描けるのである。伝統の解体、再構築。 SF風味のある往路からしてワクワクが止まらなかった。珍妙なしきたりにも笑った。真っ赤な喪服、扇動婆さん、殺気ただようとうがらし汁、驚きの蒲鉾、だからヤヨイじゃねぇッッ!!などなど。いつものごとくユーモアと想像力が半端ない。 扇動婆さんのおかげか、読後もやたらと爽やかだ。法事小説なのになぁ。こんな法事なら定期預金解約してでも出席したいと思ってしまう、超絶・法事だった。 『アケボノノ帯』これはこれでもう、本当に素晴らしかった。「龍子」だなんて、まるで極妻に出てきそうな名前なのにウンコタレかー、小学校で必ず1人くらいて、伝説作ったよなと妙に懐かしく読んだが、まさかそう来るのかというストーリー展開で感動した。これぞ神話だ思う。まるごとスープのだしになって茶色く沈んだ鹿とハクビシンの映像が鮮やかに見えた。ついでに隅田川の神々しいウンコビルも思い出した。
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「大地の黴」、「二百回忌」、「アケボノノ帯」、「ふるえるふるさと」収録。 いちばん好きなのは「二百回忌」。 次は「アケボノノ帯」かな。タイトルが何を指しているのか知ったときに衝撃を受けた。 「二百回忌」はイマジネーションとユーモアに溢れた、ありえない話。 だけど、田舎の昔から...
「大地の黴」、「二百回忌」、「アケボノノ帯」、「ふるえるふるさと」収録。 いちばん好きなのは「二百回忌」。 次は「アケボノノ帯」かな。タイトルが何を指しているのか知ったときに衝撃を受けた。 「二百回忌」はイマジネーションとユーモアに溢れた、ありえない話。 だけど、田舎の昔からの家ってこんな感じなのかな?とリアルに感じるところもあって、それが作品世界をさらに豊かにしていると思った。
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