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生きる歓び の商品レビュー

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2012/02/15

都会や地方に生きる人々のささやかな暮らしを綴った、橋本治の短編集。 全九編からなる短編は、上京したての19歳の蕎麦屋に勤める若者や、定年後マンションの管理人をしている独身の初老の男など、様々な主人公たちの生きる歓びを見つめる話である。 ただ、どの物語も小市民的な幸せに終始して...

都会や地方に生きる人々のささやかな暮らしを綴った、橋本治の短編集。 全九編からなる短編は、上京したての19歳の蕎麦屋に勤める若者や、定年後マンションの管理人をしている独身の初老の男など、様々な主人公たちの生きる歓びを見つめる話である。 ただ、どの物語も小市民的な幸せに終始しており、これといった感動はなかった。小粒な短編小説集といったところ。 同じ橋本治の短編集でも、「蝶のゆくえ」は読了後に胸がジーンと熱くなる体験をしたものだが、この作品に関してはそういった感動がなかった。 唯一橋本治らしいと感じた作品は、「にしん」社会の不条理さを、商店街の蕎麦屋に勤める19歳の若者の視点から描いた作品だ。 「死んじゃったソバでも平気で出前頼んでくるやつらばっかり住んでる町なんて、ほんとに意味あるのかな」って台詞には笑いました。 また、定年退職後に妻に先立たれた男を描いた「いんかん」では、「もしかしたら、死ぬということは、とても懐かしいものと出会うことなのかもしれない」という台詞にハッとしたりはしました。 大好きな橋本治作品だけに、点数はちょと辛めです。

Posted byブクログ