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発光妖精とモスラ の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2015/06/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

◆読友さんに原作が中村真一郎・福永武彦・堀田善衛の連作小説だと教えていただき、探して読みました。◆初出『週刊朝日・別冊』1961年1月号。映画「モスラ」のスチール写真42点。シナリオ第1稿・決定稿併録。◆(上)「草原に小美人の美しい歌声」中村真一郎(中)「四人の小妖精見世物となる」福永武彦(下)「モスラついに東京湾に入る」堀田善衛。固有名詞などに見られる緩い遊び心にクスリと笑わせられる。水爆実験場であるインファント島や小美人の歌声・姿態を描写する中村の筆が思いのほか美しく、映画に活かされていないのが残念。◆読んで「なるほど」と道理がわかる記述やセリフに限って、映画では割愛されている。説明は映像には向かないのかな。◆植物由来のドロドロジュースを飲むだけで放射能障害をまぬかれるというのは、現代では違和感ありまくりかも。◆あとがき中村による回想「モスラ」の、身もふたもないぶっちゃけ話はなんだかなぁと思いながらも興味深かった。

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2014/06/22

「MM9」の他に怪獣小説無いかなぁと検索して発見しました。初代モスラの原作と脚本、映画の写真が載ってて豪華です。読みながら暫し、モスラの歌の色んなVersionを聞きましたがザ・ピーナッツさんのが一番でした。全バージョンのモスラの歌のCD欲しいな。小美人の最初の設定が4人で倍の大...

「MM9」の他に怪獣小説無いかなぁと検索して発見しました。初代モスラの原作と脚本、映画の写真が載ってて豪華です。読みながら暫し、モスラの歌の色んなVersionを聞きましたがザ・ピーナッツさんのが一番でした。全バージョンのモスラの歌のCD欲しいな。小美人の最初の設定が4人で倍の大きさだったのに驚きでしたし原作者さんたちに一銭もお金が入ってこなかったのもビックリです。

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2014/02/08

大好きな怪獣映画です。 殺伐とした怪獣ではなくて暖かい怪獣映画ですよね。昔々はお正月の晩にテレビで放映してました。それくらい目出度い映画だったんです。 小美人を救うため、本能で一直線に東京に向かう。結果、やむを得ず街を蹂躙してしまう。 街並みを破壊しながら進むシーンは初期東宝怪獣...

大好きな怪獣映画です。 殺伐とした怪獣ではなくて暖かい怪獣映画ですよね。昔々はお正月の晩にテレビで放映してました。それくらい目出度い映画だったんです。 小美人を救うため、本能で一直線に東京に向かう。結果、やむを得ず街を蹂躙してしまう。 街並みを破壊しながら進むシーンは初期東宝怪獣映画の中でも屈指の出来だと思います。 何しろデカイからね。 原作が有るのは知らなかった、しかも本が出ているとは。 映画を思い出しながらじっくり読了。 小説の他にシナリオ第1稿と決定稿も付いてて違いを探すのも面白い。最初は小美人4人なんだね?配役どうするつもりだったんだろう。 久し振りに映画見たくなりました。傑作ですよ!

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2015/11/10

1961年7月30日に公開された、東宝製作の怪獣映画『モスラ』。その公開に先駆けて映画脚本検討用シノプシスを同年1月、『発光妖精とモスラ』と題して「週刊朝日」において掲載された原案小説を1994年9月、筑摩書房より単行本化したのが本書であり、刊行にあたってこの小説を元に関沢新一に...

1961年7月30日に公開された、東宝製作の怪獣映画『モスラ』。その公開に先駆けて映画脚本検討用シノプシスを同年1月、『発光妖精とモスラ』と題して「週刊朝日」において掲載された原案小説を1994年9月、筑摩書房より単行本化したのが本書であり、刊行にあたってこの小説を元に関沢新一による脚本の第一稿と細部を調整した決定稿も収録されており、文字で楽しむ日本初のファンタジー怪獣小説。 先出の怪獣映画『ゴジラ』『ラドン』を成功させたプロデューサーの田中友幸は、東宝の森岩雄から「女性も観られる怪獣映画というのはどうだろうか?」と提案されたことがきっかけで、東宝映画文芸部の椎野英之のつてで純文学作家の中村真一郎を紹介され、中村が福永武彦、堀田善衛らに声をかけて基本的な設定をあらかじめ決めておき、序盤を小説家・文学評論家・詩人の中村、中盤を小説家・詩人・フランス文学者の福永、終盤を小説家・評論家の堀田が担当する三者連作という当時の日本小説・文学界ではまさに「ドリームチーム」という形でストーリーが随筆された。 主人公の名前「福田善一郎」は、原作者3人の名前を組み合わせ、架空の軍事大国「ロシリカ」は冷戦のただ中、戦術核武装に明け暮れるロシア+アメリカのアナグラム(あまりに露骨なので映画では「ロリシカ」に改名されている)、悲劇の島「インファント島(infant:幼児、幼い、子供の意)」は欧米人から見た日本人の容姿印象など、随所で洒落とシニカルな「遊び心」は純文学作家による作品がエンターテイメントへ昇華する先駆けの姿を見て取れる。 核実験によって高濃度の放射能によって死の島となったインファント島に生存する原住民にみられる設定には、島の洞窟が「核シェルター」の役目を成して全滅を免れ、島に繁殖する果物の汁によって放射能障害から守られていたとするくだりは映画公開当初の昭和30年代、海外から輸入される南洋の果物のバナナや缶詰ではない生のパイナップルが高価ながら街の青果店の店頭に並び始めた時期であり、慢性的なビタミンC不足の日本人にとって、まさに南洋の果物は「健康食品」以上の羨望の目で見られた時代背景には、日本人の「南国待望論」もその深層心理にあるのだろう。また、インファント島で核実験を行っただけでなく、小美人を興業目的で連れ去るロシリカ国民であり悪役のネルソンの言動は、日本に原爆を落とし、表向きは「救済医療処置」とするも、その実、被爆者のデーターを収集する「生体研究」を行い、度重なる核実験のみならず核武装に走る「戦勝国アメリカ」の身勝手な傲慢さを暗に描くなどファンタジックで明るい表のストーリーに隠されたメッセージはシニカルな社会批判であり、被爆国である日本人が描ける作品としても非常に興味深い一作となっている。

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2011/12/06

本日、中村真一郎生誕93年を迎へます。皆気付いてゐませんが、この人は凄い人ですよ。 さて、1961(昭和36)年の東宝映画「モスラ」(本多猪四郎監督)は、この『発光妖精とモスラ』が原作です。 中村真一郎・福永武彦・堀田善衛の純文学者3名が合作で書いた小説であります。 リレー形式...

本日、中村真一郎生誕93年を迎へます。皆気付いてゐませんが、この人は凄い人ですよ。 さて、1961(昭和36)年の東宝映画「モスラ」(本多猪四郎監督)は、この『発光妖精とモスラ』が原作です。 中村真一郎・福永武彦・堀田善衛の純文学者3名が合作で書いた小説であります。 リレー形式で、[上]「草原に小美人の美しい歌声」・[中]「四人の小妖精見世物となる」・ [下]「モスラついに東京湾に入る」の3編を、それぞれ中村・福永・堀田の順で執筆。皆普段の仕事とは違ひ、肩の力を抜き愉しんでゐるやうです。 ちなみに主人公「福田善一郎」は、この3人の名前から付けられてゐます。 成功のポイントは、やはり巨大蛾の三段変化と、小美人の存在でせう。 後半は関沢新一によるシナリオ「第一稿」と「決定稿」が収録されてゐて、原作との相違を確認するのもよろしい。 小美人が四人から二人に減員されたり、ロシリカ国(米国を仮想)がロリシカになつてゐたり。さらに完成された映画では、米国側の要請で「ニューカーク・シティ」の破壊シーンが挿入されたりしてゐます。ちよつと紙工作みたいなセットでしたが。 映画「モスラ」は、それまではゲテモノ扱ひされてゐた怪獣映画の地位を向上させた存在と申せませう。気鋭の文学者に原作を依頼したり、新人ではなく大物俳優を主演に据えたり、田中友幸プロデューサーの心意気が感じられるのでありました。そんな「モスラ」を満喫できる一冊です。 http://genjigawakusin.blog10.fc2.com/blog-entry-223.html

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