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谷山豊全集 の商品レビュー

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2014/08/26

モジュラー形式とか有理曲線とか専門的な事は分からないが,第一部と第二部以外のところ,特に随筆等は結構楽しめる。1955年の日光整数論シンポの時のベイユの様子を知ることが出来る貴重な資料。 第三部の書簡と遺書が生々しい。奥付けは1994年10月30日だから,ワイルズの講演も終わり,...

モジュラー形式とか有理曲線とか専門的な事は分からないが,第一部と第二部以外のところ,特に随筆等は結構楽しめる。1955年の日光整数論シンポの時のベイユの様子を知ることが出来る貴重な資料。 第三部の書簡と遺書が生々しい。奥付けは1994年10月30日だから,ワイルズの講演も終わり,半安定な谷山志村予想の帰結とフェルマーの最終定理との関係は周知されている筈で,講演でのギャップを埋めた,岩澤理論を使った論文が査読に回されている頃。大事な事は公になるまでは深く潜行しているよい例。 6月はフェルマーの最終定理の季節だし、次のビブリオバトルに備えて絶版本の積もりで1年ぶりに再読したら、まだ販売されてて吃驚!ご苦労様だね。全集にしては薄いが、31歳で夭折した(自殺)ので致し方ない。前半の数学論文集(ほぼ英語)はさておき、後半の書簡集及び最後の遺書は読むたびに発見がある。戦後10年、そのときから大学の自治は脅かされ、駆け出しの研究者である大学院生の立場は脆弱で、その事に彼は強い危機感を持っていた。ブルバキズムに染まる数学界で彼はどんな発言をしたかと考えると、もっと長生きして欲しかった。

Posted byブクログ