ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹 の商品レビュー
映画『ヴァージン・スーサイズ(The virgin suicides)』を観た後だったか…前だったか…いずれにせよ学生の時に読んだ。そしてあの時期に読んだからこそ、必ずしも輝いているばかりではない思春期の感受性だったり倦怠感だったりに納得したのかもしれない。今なら客観的にしか読め...
映画『ヴァージン・スーサイズ(The virgin suicides)』を観た後だったか…前だったか…いずれにせよ学生の時に読んだ。そしてあの時期に読んだからこそ、必ずしも輝いているばかりではない思春期の感受性だったり倦怠感だったりに納得したのかもしれない。今なら客観的にしか読めない。 13歳から17歳までの五人姉妹の話を近所の少年たちの目線で描いている。邦訳を『自ら命を断った少女たち』なんかにせず、「ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹」にした訳者のセンスには脱帽する。タイトルを見ただけで初夏の生暖かく不穏な空気が感じられ、ヘビトンボの儚さと気味悪さが物語全体の雰囲気を想起させる。
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『ヴァージン・スーサイズ』の原作。「ぼくら」が語る。以下気になった点。火葬人気の高まり(36)、自殺・企てと遂行の男女比(97)、ミスタ・リズボンがミセズ・リズボンを「娘たちの母親」と言っている(112)、的確なオードリー・ヘップバーン評(126)、髪の分け目(132)、バーベキ...
『ヴァージン・スーサイズ』の原作。「ぼくら」が語る。以下気になった点。火葬人気の高まり(36)、自殺・企てと遂行の男女比(97)、ミスタ・リズボンがミセズ・リズボンを「娘たちの母親」と言っている(112)、的確なオードリー・ヘップバーン評(126)、髪の分け目(132)、バーベキュー禁止令(240)。
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映画「ヴァージン・スーサイズ」の原作小説。 これを読むと、映画はかなり原作に忠実に作られてるんだってわかる。 末娘のセシリアの死後、リズボン家がだんだんと崩壊していく様子が生々しい。 この小説の語り部はリズボン家を外から見つめていた“元・少年”で、当時リズボン家の姉妹に憧れを...
映画「ヴァージン・スーサイズ」の原作小説。 これを読むと、映画はかなり原作に忠実に作られてるんだってわかる。 末娘のセシリアの死後、リズボン家がだんだんと崩壊していく様子が生々しい。 この小説の語り部はリズボン家を外から見つめていた“元・少年”で、当時リズボン家の姉妹に憧れを抱いていた彼らは、大人になっても中年になってさえも、姉妹たちの影から逃れられずにずっと心に抱えている。 人の心を解き明かすのなんてやっぱり不可能なんだと思う。まったく同じ人間にならない限りは。 淡々としててどこか気だるく、乾いた印象の青春回顧録。
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ソフィアコッポラの映画が大好きで、特にヴァージンスーサイズは何度も観ているので、原作手に取りました。原作も良かったけれども、映像のイメージが強かったので文字のわかり難さを感じた。文が、精緻でユーモアや比喩もあって、良かったけれども、映画が好きです。やっぱり。
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表紙を見た瞬間にフラッシュバックしてくる、キルスティン・ダンストの誘うような、匂うようなオーラ。 窓越しにこちらを振り向くTシャツ姿の彼女に一発で降参させられた印象深い映画。 ソフィア・コッポラが最初の映画に選んだのがこの小説。 甘い断片となって積もっていたティーンの頃の塵が巻き上げられたような読後感。 人数は異なるけれど、5人の美人姉妹ときいてすぐに浮かぶのがギリシア神話のプレアデス。 彼女たちはオリオンに追われ、ゼウスによって星に変えられたという。 そして天上で姉妹一緒に空を巡り、冬になると青く輝く姿を見せてくれる。 ヘビトンボが飛ぶ季節にリスボン家の5人姉妹の思い出が蘇る。 封じ込められた少女たちの心は逃げ場を探してついに永遠の自由を手に入れる。 歳を重ねるとフェードアウトしていく筈だった甘ったるい体験が、その絶頂で突然未来を失い、却って強烈に心に焼き付く。 張り付いた映像を再生したくて、弾けたピースをつないでいく五人姉妹の物語。 様々なテーマを含んでいるけれど、ラックスが気になるのは彼女が抱く象徴のせいかも知れない。 窓越しのラックス。 クイーンに選ばれたラックス。 アメフトの競技場で仰向けに寝転ぶラックス。 そして車に乗り込んできてキスの嵐をして去っていくラックス。 生きることにどん欲だった筈のラックスがなぜ自殺を選んだのか。 ピースは完全には埋まることはないけれど、これがすべてはまったとしても、やっぱり理解できるとは思わない永遠の謎。 少女。
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映画、「ヴァージン・スーサイス」の原作。夏に東京で、ちょっと立ち読みして買おうかと思ったけど、すでに散財しまくった後だったので断念した。やっと、見つけたよ。この田舎で(笑)末っ子の自殺を契機に、どんどん孤立し引き篭もっていく家族が、最終的に残った娘達の自殺で崩壊する様子を、近所...
映画、「ヴァージン・スーサイス」の原作。夏に東京で、ちょっと立ち読みして買おうかと思ったけど、すでに散財しまくった後だったので断念した。やっと、見つけたよ。この田舎で(笑)末っ子の自殺を契機に、どんどん孤立し引き篭もっていく家族が、最終的に残った娘達の自殺で崩壊する様子を、近所の男の子が20年後に回想する。でも、その回想する人の、何故回想するのか現在の状態とか、そういう所を一切省いている。なかなか大胆な手法だと思う。 姉妹は、狂信的で古い価値観に凝り固まっている両親、特に母親の犠牲になったと言えるだろう。でも、結局は何も、本当の所はわからないという結末?に、悲しみとセンチメンタルを感じる。 映画が見てみたいな。
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少年時代に見守っていた一家のことを後年になって回想する形で描かれた小説。 古いウエディングドレスを着て歩いていた末娘セシリア13歳の自殺。 その後に続くリズボン一家の崩壊。 父は教師、母は学校と教会しか姉妹が出歩くのをゆるそうとしないほどの家庭。 奔放なラックスは人気のある男の子...
少年時代に見守っていた一家のことを後年になって回想する形で描かれた小説。 古いウエディングドレスを着て歩いていた末娘セシリア13歳の自殺。 その後に続くリズボン一家の崩壊。 父は教師、母は学校と教会しか姉妹が出歩くのをゆるそうとしないほどの家庭。 奔放なラックスは人気のある男の子トリップをはじめ、少年達の憧れを集めるのだったが… 思春期の揺れ動く心情が、1つ違いの姉妹の暮らす家で増幅したのか…? 1972年頃が舞台なので、オイルショックやウォーターゲートなどアメリカが暗い時代へ動いていく空気を先取りしたのではないかという解釈も。 自分たち姉妹はみんな自殺を考えたことがあるという知人の発言をヒントに書いたという。 作者は1960年生まれ、大学の創作科を出た後、様々な仕事をしながら短編を発表、1993年のこれが長篇第一作。高い評価を受ける。2001年の文庫本。 ソフィア・コッポラが映画化。
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ヴァージン・スーサイズの原作本。 年頃の少女から女性へ変わる姉妹たちの物語。 映画のほうが本より良かったです。 きっとアメリカの物語だからかなと…。
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THE VIRGIN SUICIDESの原作。あとから原作を読んだため、映画の世界観が非常に原作に忠実かつさらに現代的なエッセンスを足した作品に仕上がっていたことに驚いた。思春期の男の子の淡い憧憬の視線からみた女の子のナイーブな「日常」を、大人になった主人公が回顧する形で物語は展...
THE VIRGIN SUICIDESの原作。あとから原作を読んだため、映画の世界観が非常に原作に忠実かつさらに現代的なエッセンスを足した作品に仕上がっていたことに驚いた。思春期の男の子の淡い憧憬の視線からみた女の子のナイーブな「日常」を、大人になった主人公が回顧する形で物語は展開する。忘れてしまったあの思春期独特の高慢さとだらしなさを回顧させるが、同時にものわかりが良い=大人であるでいいのか?と自分に問うてみたくなる名著。
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淡々と少年の視点で五人姉妹の自殺について語られる。 幻想まじりの解釈や多数の美化が見られる。男の子は妄想力が豊か過ぎる。
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