東京百景 の商品レビュー
80年代ニューウェーブを牽引した三人が描く東京の風景。たいてい、上京した人々が見た「東京」というのは文芸作品で書かれるのだけれども、『東京百景』で描かれるのは、江戸生まれによる、東京湾の水際を中心とした、肌で感じる東京の空気だ。サエキけんぞうは名曲「昆虫軍」「隣の印度人」をモチ...
80年代ニューウェーブを牽引した三人が描く東京の風景。たいてい、上京した人々が見た「東京」というのは文芸作品で書かれるのだけれども、『東京百景』で描かれるのは、江戸生まれによる、東京湾の水際を中心とした、肌で感じる東京の空気だ。サエキけんぞうは名曲「昆虫軍」「隣の印度人」をモチーフにしたスチームパンク的東京像を、鈴木博文はウォーターフロントにおける「人の住処」を、伊藤ヨタロウは江戸情緒から引っ張ってきた下町の優雅でぞろっぺえ空間を描き出している ドラマがあるのです。 ドラマなんぞ、奇想天外なストーリィを書かなんでも、肌で感じる空気に内在しておる。わざわざのストーリーなんぞ野暮でしゃらくせいや、という気概。その辺がこの本の値打ちじゃないかしらん。
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羽田の工場街を彷徨う鈴木博文。不条理にエスカレートする神保町カレー戦争を描くサエキけんぞう。幻の大正時代、大川に浮かぶ幻の島に遊ぶ伊藤ヨタロウ。この一冊は、オイラの秘密の宝物です。
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