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乱歩(下) の商品レビュー

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2021/08/07

江戸川乱歩(1894-1965)の生誕100年目を記念し、乱歩自身の中/短編小説と随筆、乱歩の作品論評や人柄を語った企画出版の下巻です。乱歩の『類別トリック集成』は、真犯人の名前を伏せ、英米探偵小説の七百数十種のトリックの種明かしを解説した驚きの評論集。 怪奇と探偵小説からは、『...

江戸川乱歩(1894-1965)の生誕100年目を記念し、乱歩自身の中/短編小説と随筆、乱歩の作品論評や人柄を語った企画出版の下巻です。乱歩の『類別トリック集成』は、真犯人の名前を伏せ、英米探偵小説の七百数十種のトリックの種明かしを解説した驚きの評論集。 怪奇と探偵小説からは、『芋虫』『押絵と旅する男』『虫』『目羅博士』『石榴』『怪人二十面相(抄)』『月と手袋』『防空壕』『ラム-ル』『指』の10篇が掲載されています。

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2020/03/02

江戸川乱歩の作品と乱歩についての関係文化人のエッセイなどでなる。乱歩のクリスティ論「クリスティに脱帽」やクリスティについての座談会などもあり興味深い。 ○「座談会 狐狗狸の夕べ」(「宝石」昭和33年10月号) 江戸川乱歩が座主となって客人を迎え座談。 三島由紀夫、杉村春子、芥川...

江戸川乱歩の作品と乱歩についての関係文化人のエッセイなどでなる。乱歩のクリスティ論「クリスティに脱帽」やクリスティについての座談会などもあり興味深い。 ○「座談会 狐狗狸の夕べ」(「宝石」昭和33年10月号) 江戸川乱歩が座主となって客人を迎え座談。 三島由紀夫、杉村春子、芥川比呂志、松浦竹夫、山村正夫。 各人ともよく本を読み芝居を見映画を見ている。 「マウス・トラップ」がロングランで、この間ニ千何百回かの祝賀パーディーをやったことが日本の新聞にも載ったね。などとある。 「この間のクリスティの『情婦』は?」との乱歩の問いに、芥川がよかった。三島、山村は最後のドンデン返しがひどいと言っている。乱歩がディートリッヒはやっぱりうまいねと言っている。”この間の”というあたり1958年の対談だ。さらに芥川がトリックの要が、元女優なので変装ができた、としていることに、俳優としてはいやだ。俳優は演じても地の自分の色は出るものだ、と言っている。そこで乱歩が、探偵小説の基本として伏線を織り込む必要があるので元俳優という設定はまあ都合のいい申し訳みたいなものですね、と発言している。 その他の映画については乱歩が「毒薬と老娘」「殺人鬼を罠にかけろ」「死刑台のエレベーター」が、松浦が「眼には眼を」がおもしろかったと言っている。 ○「クリスティに脱帽」(「宝石」昭和26年1月号)。その追記として山下暁三郎氏が書いた文を載せている。(「続・幻影城」昭和29年6月早川書房) 探偵小説家は初期の作品ほど優れ晩年は気が抜けてくるのが普通で、ドイル然り、ルブラン然り、クイーン然り・・だがこの老婦人は晩年ほど力の入った作品を書いている。と言っている。「ゼロ時間へ」(1944)あたりから作風が変化し、犯罪以前の描写(主として恋愛関係)が長いが、しかし極めて巧みなメロドラマなので、その後にとびきりの謎があるのだと思うと、通俗小説嫌いの私にも、十分楽しめる程度に気の利いたものだ、と書いている。 ○推理小説独言(抄)松本清張著がおもしろい 乱歩の「芋虫」は戦争で両手両足を切断された男の話だが、戦争批判も読み取れそうだが、乱歩の読者は異常性と怪奇性を選りだして興味を覚えたに違いない。同じ小説を他の普通の作者が書いたら痛烈な戦争批判の書と評価されるだろう、としている。「推理小説」であるかぎり、たとえ作者が反戦の意図で書いていても、その作者の思想的意図は読者に直接、感動的にこない、としている。ここに推理小説形態として読まれた場合の、作者の思想的意図と、読者の享受との分裂がある、としている。 1994.9.20発行 図書館

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