出会いはいつもドラマチック!? の商品レビュー
本書が新刊として発売された当時、書店で購入し、読んでみた所、直ちに私は酷く憤慨したが、批判的なレビューを投稿出来る場所が無く、或いは知らず、そのまま本書を紛失、最近古書で購入 先ず第一点、本書は「形を変えた一種の女性蔑視」であると言える。この点を見落としてはならない。 それは「花...
本書が新刊として発売された当時、書店で購入し、読んでみた所、直ちに私は酷く憤慨したが、批判的なレビューを投稿出来る場所が無く、或いは知らず、そのまま本書を紛失、最近古書で購入 先ず第一点、本書は「形を変えた一種の女性蔑視」であると言える。この点を見落としてはならない。 それは「花嫁の輸入」に肯定的な態度である事だ。女性を一つの人格として見ていない現れである。 勿論私も、個人の自由の一つとして国際結婚を否定する立場に無い。そして、本来結婚は当事者同士の個人的な問題に過ぎないのだが、こういうアプローチで「農村の嫁不足」を解決しようという考え方自体が、如何に言葉を選び糊塗しようが女性の人権や民主主義に反する、女性を耐久消費財か何かと勘違いしている、古すぎる封建的な女性蔑視の思想である。 本書が主に扱っているのは農村の結婚難である。その根底にあるのは若者達が農業に希望を持てない事にある。それは我が国の悪質な農業政策の一つの現れ、ないし結果である。 昔から続いて来た減反政策や農産物の輸入自由化で農村はその未来に対する展望を奪われ、青年達は都市部に労働者として出て行ったのは昔からの事である。 21世紀の今日となっては、都市部に暮らす青年も定職にはありつけず「正社員が夢」となり、住居も奪われネットカフェ難民となる方も居られる。 結婚難の問題は農業政策に留まらない経済政策等の政治の根本問題の悪質さが原因である事が本書からは見えて来ない。 農村男性どころか都市部も、男性の生涯未婚率は増加し、そのまま高齢化し、独居老人の孤独死という問題が近くに見えて来た。 結婚難の問題から入り、社会全体の矛盾の解決への理解の扉を開く様には本書は最初から作られていないのだ。 発刊当時でも腹が立つほどトンチンカンな本だと私は感じたが、時代が進んだ今日、本書の出番は更に無いだろう。
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