昭和の歴史(1) の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
そういえば、これまで歴史の本はいろいろと読んではきたものの、概説とか通史をあまりよんでいなかった。ピンポイントで事象やテーマを扱っている本を読んできたが、ここいらで概説・通史系の本にも手を伸ばさねば、と思い立って、もともと興味があってけっこう詳しい(つもりの)昭和史の通史にチャレンジよ! 読んでみた。まあ、あれです。通史・概説みたいな本であっても、私の知らなかった人名やら事件がとてつもなく多い。この巻は大正メインです それにしても、大正を知ることなくして昭和を読むことなかれ、ですね。世界的な潮流にのった大正デモクラシー、米騒動、軍備縮小。そのなかで活発になった労働争議、小作争議、普選運動、そして自由教育。植民地の独立運動。民衆が政治を動かす!の勢いのさなかで起こった関東大震災。ここから反動が…。 自由教育に関するところが特に筆のノリがいいなあと感じました。丁寧です。関係する方々の具体的なエピソードがたくさん盛り込まれていると読みやすいですね。 争議の具体的な展開に関しても全国の事例から何件かピックアップ。歴史の授業では吉野作造の民本主義中心に大正デモクラシーが興隆みたいな感じでさらっと流され、結局具体的になんだったんだろう…「大正デモクラシー」という名詞だけが記憶に焼き付いてるけど……という印象の「大正デモクラシー」が多面から照射されています。 大正は明治の上がり坂調子の遺産を受け継ぎ、昭和は大正の破産を引き継いだ…と纏めて第一巻が締められています。暗い予感しかないわ。
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