人間論の可能性 の商品レビュー
「近代」の科学と技術がさまざまな問題を生み出し、生命倫理や環境倫理、民族問題など、アクチュアルな課題に直面している状況を踏まえて、あらためて哲学がどのような貢献をなしえるのかという問題を考えるための論文が収録されています。 執筆者は、隈元忠敬や山内廣隆など、広島大学の哲学研究者...
「近代」の科学と技術がさまざまな問題を生み出し、生命倫理や環境倫理、民族問題など、アクチュアルな課題に直面している状況を踏まえて、あらためて哲学がどのような貢献をなしえるのかという問題を考えるための論文が収録されています。 執筆者は、隈元忠敬や山内廣隆など、広島大学の哲学研究者が中心になっています。東北大学には、高橋里美や三宅剛一に始まる現象学研究の伝統がありますが、同じように広島大学には、西晋一郎以来のドイツ観念論研究の伝統が受け継がれています。本書も、近代の問題性を押さえつつ、カントやフィヒテ、ヘーゲルらのドイツ観念論の思索に立ちもどることで、改めて「近代」とは何かという問題に向きあうことをめざす論考が多かったように思います。
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