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精霊たちの家 の商品レビュー

4.7

10件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    3

  3. 3つ

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2018/11/05

以前にテレビでこの本を原作とした映画を観て、強烈な印象をもって、いつかは読もうと思っていた。 が、なかなか重そうな話だし、最近は小説をあまり読まないので、つかれそうだな〜、と思って、そのままになった。 そういうなか、なぜか、長年読みたいと思っていたけど読んでいなかった重厚長大...

以前にテレビでこの本を原作とした映画を観て、強烈な印象をもって、いつかは読もうと思っていた。 が、なかなか重そうな話だし、最近は小説をあまり読まないので、つかれそうだな〜、と思って、そのままになった。 そういうなか、なぜか、長年読みたいと思っていたけど読んでいなかった重厚長大なトーマスマンの小説を読んだ勢いで、こっちも読んでみたという次第。 マルケスの「100年の孤独」の女性版というイメージでの紹介もある。たしかに母娘3代にわたる話だが、年数としては70年くらいなのかな?物語の最初から、ほぼ最後までいるのは、一人の男性なので、たんに女性の物語とも言えない。 もしかすると、これは、貧困のなかから財を築いた強情で、怒りっぽく、性欲のかたまりの男の一生かけた不器用で純粋な愛の物語なのかもしれない。 時代としては、20世紀の初頭から70年台くらいまでの話。場所は南米のある国という設定だが、あきらかにチリ。ときどき、ヨーロッパで戦争があったり、大恐慌が起きたり、ナチスが政権をとったり、といった話が物語にゆるやかに伝わってくるが、それは遠い世界の話という感じ。 そういう現代史から通そうな国でも、社会主義の動きがだんだん強まっていって、社会的な緊張が高まっていくさまが伝わってくる。 物語のクライマックスでは、社会主義政権が登場し、社会改革を進めるとともに、数年後にクーデターがおきて軍事政権が誕生。そうしたなかで、この長い物語がじわじわつ紡いでいた緊張構造が、様々な形で、表出していく。 作者は、チリの社会主義政権のアジェンデ大統領の親戚ですからね。リアリティがすごい。 と書くと、かなり暗く、重い小説に聞こえるかもだが、書き振りはたんたんとしていて、ユーモアがあるな。 そして、タイトルにあるように精霊やら超常現象満載なんだけど、オカルティックにはならず、たんたんと明るく、楽しく、そんなものという調子で書いてあるのも魅力。

Posted byブクログ

2018/09/01

マルケス『百年の孤独』の影響を強く受けた大河ドラマ。どちらに衝撃を受けたかと言われれば『百年…』だが、どちらが面白いかと問われれば『精霊たちの家』。小説として出来上がっている。

Posted byブクログ

2015/09/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

追いたい作家の一人ですが、最近世界の軍事情勢が気になるのでこの小説がチラつきました。物語は、ある一族の三世代の生き方について。著者はチリクーデターで篭城後に反乱軍と撃ち合いの末自殺したといわれるサルバトール・アジェンデ大統領の姪なので、リアリティがあります。終盤に一族の長が秘密を語るシーンがあったと思うけれど、記憶が定かでなくどうもウォーリー・ラムの「この手のなかの真実」の終盤の家族の過去が語られるシーンとかぶります。どちらも好きな小説なので、またじっくり読み返したいですね~。

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2014/04/03

著者の自伝的な小説。語り手は孫娘のアルバで、冒頭は祖母のクラーラが少女だった時代に、ノートに日記をつけ始めたところから始まる。 革命、農地解放などの香りはまだ感じられず、けれど議員だった父親のいざこざに巻き込まれて、姉のローサは毒を飲んで死んでしまう。クラーラはこの9年後、姉の婚...

著者の自伝的な小説。語り手は孫娘のアルバで、冒頭は祖母のクラーラが少女だった時代に、ノートに日記をつけ始めたところから始まる。 革命、農地解放などの香りはまだ感じられず、けれど議員だった父親のいざこざに巻き込まれて、姉のローサは毒を飲んで死んでしまう。クラーラはこの9年後、姉の婚約者であったエステーバン・トゥルエバと結婚し、ブランカという娘と双子の男の子を授かる。 「精霊たち」とは祖母のクラーラが見えていたらしい精霊たちのこと。この精霊たちが家をうろうろしているときは、家庭はとりあえず平和が保たれている。けれど家が荒れ始めると精霊は逃げ出してしまう。 語り手のアルバが恋をするような年齢になると、政治は激変し、一家もこれに翻弄される。 決して絆の強い仲の良い家族ではない。エステーバンは民主主義者で他の家族は共産主義やら社会主義に傾倒していて、いつでも家の中にはいざこざが絶えないし、クラーラは娘を殴られてからエステーバンとは死ぬまで口を利かなくなる。けれど離別とかそういうことは一切彼らは考えない。愛に重きを置かないといえば冷たく打算的に聞こえるだろうけれど、生き延びることが人間最優先しなければならないことであり、愛なんていう不安定なものを家庭生活の基盤にしていたらこの家族は早々に離散していたことだろうと思う。別に愛情のない冷たい家庭というわけではない。それぞれがそれぞれの役割に熱心というか、そうであれば家族というものは成り立つんだな、きっと。愛の価値を過信すべきではないと思いました。でも美しい一途な恋の話も入ってたり。けれど恋はいつでも家庭と祖国を離れたところでしかかなっていなかったな。

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2014/01/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

町ができ、賑わい、廃れていく。男が野心を持ち、富豪となり、死ぬ。女が生を授かり、生を授け、代を紡ぐ。国に革命が起き、若い政権が生まれる。 神話を思わせるスケールの大きな筋立ての中で、上記のチリ現代史が語られていく。ただしその語りは、超能力を授かった女系主人公たちを通して、魔術的に進められていく。 クーデター後の暗黒を語る、悲惨で救いの無い終盤。ルシュディの「真夜中の子供達」もそうであったが、夢あふれる物語が、次第に現代史の闇に塗りつぶされていく。その迫真の筆致は息をのむ。 それでも何か、ほのあたたかい接触感がある。長編小説の醍醐味を最大限に味あわせてくれる一冊。

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2017/08/15

 作者がチリの独裁者ピノチェトによって倒されたアジェンデ大統領の娘ということを知り、読んだ本。(じつは娘じゃなく親戚だったけど)   内容は全然覚えていないけど、不思議な内容だった印象だけ残ってる。南米っぽかったというか、そんな記憶しかない    なので評価できず…  結構ながい...

 作者がチリの独裁者ピノチェトによって倒されたアジェンデ大統領の娘ということを知り、読んだ本。(じつは娘じゃなく親戚だったけど)   内容は全然覚えていないけど、不思議な内容だった印象だけ残ってる。南米っぽかったというか、そんな記憶しかない    なので評価できず…  結構ながい話なので、読み返すこともないでしょう…

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2010/07/04

作者自身の家族の歴史をモチーフにした、アジェンデのデビュー小説。親子三代にわたる大河ドラマが、個性的な人物や魔術的なエピソードを交えて描かれるという構成で、ちょっと「百年の孤独」を思わせます。1990年代に「愛と精霊の家」という題で映画にもなりました。 初代の主人公である祖母...

作者自身の家族の歴史をモチーフにした、アジェンデのデビュー小説。親子三代にわたる大河ドラマが、個性的な人物や魔術的なエピソードを交えて描かれるという構成で、ちょっと「百年の孤独」を思わせます。1990年代に「愛と精霊の家」という題で映画にもなりました。 初代の主人公である祖母クラーラは、精霊と語り合うことのできる神秘的な女性。そのほかにも次々に風変わりなエピソードや個性的にして愛すべき人たちが出てきて、ラブストーリーあり、革命あり、家族愛あり、面白さにどんどん読めてしまいます。 正直「百年の孤独」ほどの迫力はないんですが、自分の家族をモデルにしたからなのか、独特の親密さがあって、また別の味わい。 小説の終盤、孫娘が経験するピノチェトのクーデターは、教科書で見たことがあるとはいえ当事者に語られるとまた衝撃的。この孫娘は作者と同世代で、略歴を見ると決して厳密な意味で「自伝的」ではないんだと思いますが、こんなクーデターを経験し、その後亡命した作者が、自分の家族と祖国の物語を「書かずにはいられなかった」という言葉が身にしみました。実際、小説では「大統領」としか書かれませんが、クーデターで亡くなったアジェンデ大統領は作者の父親の従兄弟だそうです。 「旧植民地で旧宗主国の言葉が通じる」ことよくあるけれど、スペイン語ほどそれが国語として根付いたものはないよなあ、ということをなんだか改めて感じもしました。 ペルー生まれチリ育ちのアジェンデは、きっと当然のようにコロンビア人の書いた「百年の孤独」を原書で読み、亡命先のベネズエラで小説を書き始めたわけですからね。 うーん、なんだかスペイン語を勉強したくなってきた(←思いつき)。 池澤夏樹さんの世界文学全集が続々刊行中ですが、この本もこの訳で全集に入るようです。この全集、なかなか素敵なラインナップで、装丁もいいんですが、これに入ったらしばらく文庫にならないんだろうなー、と思うとちょっと複雑なものがあります。いくつかすごく読みたい作品がはいってるんですよ。まあそもそも世界文学って文庫に落ちにくいですけどね。

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2012/09/05

ある一族の100年弱にわたる年代記であり、19世紀末から1973年の軍事クーデターまでのチリの大河小説でもある。 またいわゆるマジックリアリズムの手法をとっているという点もあいまって、マルケスの『百年の孤独』に比される力作。 しかし、形式的には似ているとはいえ、読んでいてあまり...

ある一族の100年弱にわたる年代記であり、19世紀末から1973年の軍事クーデターまでのチリの大河小説でもある。 またいわゆるマジックリアリズムの手法をとっているという点もあいまって、マルケスの『百年の孤独』に比される力作。 しかし、形式的には似ているとはいえ、読んでいてあまり相似は感じない。 マルケスの場合、文章や登場人物が暑苦しく、読んでいて熱帯の熱気と汗と埃がこっちまで伝わってきそうな感じなのに対して、本作は語りも登場人物もエピソードも…何というか…スッキリした感じがする。登場人物の瑞々しい感情の発露など、やはりこの雰囲気は女性ならではのものなんじゃないかと思う。 むしろ読んでいて思い出したのは、E.ブロンテの『嵐が丘』である。短気で執念深いエステーバンは狂気に満ちたヒースクリフを何となく彷彿とさせるし、魅力的な女性の登場人物が多数登場するあたりも雰囲気が似ている。ような気がした。 人によっては「『百年の孤独』の二番煎じ」と酷評するらしいが、個人的にはそうは思わない。百歩譲って相似点がたくさんあるから二番煎じだということにしても、この大作を最後まで読みきっておいて駄作だと断ずることはまともな感覚の人間のできることじゃないと思う。少なくとも、すべての前提知識をほっぽり出してこの作品を単独で評価するなら、悪評をつけられるはずのない実に良い小説である。 あと、訳者である木村榮一氏の解説がなかなか素晴らしい。

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2009/10/04

http://d.hatena.ne.jp/hazy-moon/20060614/1150269470

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2009/10/04

 本当はファンタジーでは無く、大河小説とでも言うべきなのだろうけど、私が目指すファンタジーということで、ファンタジー。遠い南の国の物語は、裏切りも復讐も虐待も何もかもが生々しく、少し可笑しく、力強い。今自分のいる環境からは想像も出来ない世界なのに、生々しく感じるのはなぜだろう。

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