戦艦大和ノ最期 の商品レビュー
先年,呉の大和ミュージアムに行ったとき以来,読もうと思っていた本を読む. 大和の最後の出撃となった沖縄特攻に学徒出身士官として乗り組んだ著者の経験を基にした小説.短い文を重ねた明晰な文語での記述に,必ず負ける,生きては帰れないと知りながら出撃し,まさしく懸命に戦う人たちの姿がう...
先年,呉の大和ミュージアムに行ったとき以来,読もうと思っていた本を読む. 大和の最後の出撃となった沖縄特攻に学徒出身士官として乗り組んだ著者の経験を基にした小説.短い文を重ねた明晰な文語での記述に,必ず負ける,生きては帰れないと知りながら出撃し,まさしく懸命に戦う人たちの姿がうかびあがる.戦後70年を振り返り,今の日本がどうなろうとしているかを考える上でも,読んでよかった. 文語文としては難しくはないが,私には読めない漢字や意味のわからない漢語は少々あるので辞書はひかないといけなかった.若い人が読めるようにルビ付き,注つきの手軽に手に入るエディションがあってもいいと思う.
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軍部は、駆逐艦30隻相当の重油を食らう巨艦大和の維持に困ったために、数千人の命と共に、大和を見殺しにしたわけですね。 何万人の社員を維持しかねている巨艦、とならないようにしなければいけません。。。
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[ 内容 ] 昭和二十年三月二十九日、世界最大の不沈戦艦と誇った「大和」は、必敗の作戦へと呉軍港を出港した。 吉田満は前年東大法科を繰り上げ卒業、海軍少尉、副電測士として「大和」に乗り組んでいた。 「徳之島ノ北西洋上、「大和」轟沈シテ巨体四裂ス今ナオ埋没スル三千の骸 彼ラ終焉ノ胸中果シテ如何」戦後半世紀、いよいよ光芒を放つ名作の「決定稿」。 [ 目次 ] [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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呉の大和ミュージアムにて購入。 こういうのは最高評価以外につけようがない。 確か再読だったなぁ。子供の頃読んだ時はこういうのの捉え方がわからなかったしカタカナ読みづらいしで困ったけど、今はすんなり読めるね。ミュージアムで駆逐艦等の知識得てからだから余計面白い。 臼淵少佐の言葉は...
呉の大和ミュージアムにて購入。 こういうのは最高評価以外につけようがない。 確か再読だったなぁ。子供の頃読んだ時はこういうのの捉え方がわからなかったしカタカナ読みづらいしで困ったけど、今はすんなり読めるね。ミュージアムで駆逐艦等の知識得てからだから余計面白い。 臼淵少佐の言葉は至言。国や時代が違っても兵隊の普遍の答えじゃないかと。 そういえば終戦のローレライはこの人をモデルにしたんでしょうかね。 そして解説を「限界芸術論」の鶴見俊輔がしていて喜ぶ。同じ歳とは…。
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凄かった。泣いた。「永遠のゼロ」で感動しているヒマがあったら是非この名著を。一読して(他の批判を待つまでもなく)これは「小説」であり「記録」ではない。余計な修飾や後付け、伝聞は目立つ。しかしそれを差し引いても圧倒的。僅か二時間の戦闘の如何に凄惨なことか。その後の脱出行の如何に無常...
凄かった。泣いた。「永遠のゼロ」で感動しているヒマがあったら是非この名著を。一読して(他の批判を待つまでもなく)これは「小説」であり「記録」ではない。余計な修飾や後付け、伝聞は目立つ。しかしそれを差し引いても圧倒的。僅か二時間の戦闘の如何に凄惨なことか。その後の脱出行の如何に無常なことか。僕はこの小説を忘れないだろう。戦争反対。
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乗組員達が愚かな作戦と分かりながら予定調和的、いやそれ以上に脆く沈んで行く大和の姿に激しい哀しみを感じる。空気と言ってしまえばそれまでの理不尽さとその中で自分自身を生きるしかない人々はスケールこそ違えどいわゆる人生というものか。伊藤長官の最後の作戦中止の決断はその空気の中でこそ思...
乗組員達が愚かな作戦と分かりながら予定調和的、いやそれ以上に脆く沈んで行く大和の姿に激しい哀しみを感じる。空気と言ってしまえばそれまでの理不尽さとその中で自分自身を生きるしかない人々はスケールこそ違えどいわゆる人生というものか。伊藤長官の最後の作戦中止の決断はその空気の中でこそ思い切ったものであるけど、誰もが持つ生きたいという気持ちの前では当たり前のようにも見えることに至っては。
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大和の若手仕官の日記風の記録。必ず死ぬ覚悟の船出前の乗員の心情、大和が無用の長物で、飛行機の前になすべくもないことを議論しつつ、突撃に出るその悲惨な戦争の姿。人間の悲しさが描かれておりますが、何故この本が戦争直後には戦争賛美と受け取られたのか、不思議です。カタカナ交じりの文語体がいかにも戦争への決意を秘めた文章に感じられます。慣れないので非常に読みづらいのですが、美文でした。
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「大和轟沈 一四二三」 昭和20年4月7日12:20 「目標捕捉 イズレモ大編隊 接近シテクル」 戦闘開始から2時間後のことである。 カタカナの文語調の文体には緊張感が漂う。 時系列、日記的な記載により臨場感が増す。 基点(大和)から、話題がぶれないために、時局の把握は容易に...
「大和轟沈 一四二三」 昭和20年4月7日12:20 「目標捕捉 イズレモ大編隊 接近シテクル」 戦闘開始から2時間後のことである。 カタカナの文語調の文体には緊張感が漂う。 時系列、日記的な記載により臨場感が増す。 基点(大和)から、話題がぶれないために、時局の把握は容易にできる。(時代背景や軍備)説明はは少ない。 天号作戦は、死出の作戦。出航後の帰還はしない。 緊&緩の繰り返す波、艦上と下船の会話。これは軍隊と家族、戦争(死)と生活(生きる)との対峙なのだろう。会話中に登場する、許婚、父母や、妹があり。 戦闘(攻撃)の描写は息を飲む、目前での死別あり。無言の最期があり。死に直面しての、落ち着きは何を示すのか。 作戦中止のあとでは、生きることを命じられる。海中で漂う間にも、死を願っている。生恥をさらすことはつらい。だが、生還した。 一読ノ価値アリト信ズル
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友人に紹介してもらった. 時代の熱気が伝わってくるとのことだったが, まさにその通り. 死線を越えるとはまさにこういうことをいうのだろう. 「われ果たして己の分を尽くせしか 分に立って死に直面したるか」 こういう問は, 日々自分自身に問い続けねばならない. それも, 「最善を尽く...
友人に紹介してもらった. 時代の熱気が伝わってくるとのことだったが, まさにその通り. 死線を越えるとはまさにこういうことをいうのだろう. 「われ果たして己の分を尽くせしか 分に立って死に直面したるか」 こういう問は, 日々自分自身に問い続けねばならない. それも, 「最善を尽くす」とかいった生温く甘えた馴れ合いの果てにではなく, 「ほんまに限界までやってんのか, 限界を超えるつもりでやってんのか, 今日のお前はどうやねん」っていうぎりぎりのせめぎ合いの中で問わなければならない. それが「心の切れ味」を産むのだろう. 心に「切れ味」がある人の言葉だから, 自分の身に深く差し込んでくるし, えぐってくる.
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戦争で戦艦に乗っていた若者が遺した記録・・・ つまりそのときの若者か書いてた日記みたいなもの。 そもそも戦争がいけないなんて言葉は 戦争を経験してないやつが言っても綺麗事に思えます。 そう思い生きてきたので、この本を開くまで戦争について考えることすらしませんでした。 (考えたこ...
戦争で戦艦に乗っていた若者が遺した記録・・・ つまりそのときの若者か書いてた日記みたいなもの。 そもそも戦争がいけないなんて言葉は 戦争を経験してないやつが言っても綺麗事に思えます。 そう思い生きてきたので、この本を開くまで戦争について考えることすらしませんでした。 (考えたことはネタバレなので回避しますが。) 戦争体験者の気持ち、きっとどんなに努力しても私には分かりません。 だから読み終えた今も戦争はいけないなんて言えません。 戦争肯定は決してしませんが。 最後の1ページ、 悔しい悲しい虚しい情けない申し訳ない こんな感情がほんの数行にすべて詰められている気がしました。
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