忠臣蔵 の商品レビュー
「忠臣蔵」として美化…
「忠臣蔵」として美化され続けている赤穂事件は、実際はどのようなものだったのか。フィクションではなく史実を見る必要があると改めて思いました。
文庫OFF
赤穂浪士討ち入り事件の史実を解明している本です。 この事件にかんする一般の人びとの知識は、事件が歌舞伎や浄瑠璃の題材としてとりあげられたことで、すでに多くの脚色を受けたものになっています。そこで、事件の史実を明らかにしようとするばあい、そうした脚色された常識を払いのけて、一次史...
赤穂浪士討ち入り事件の史実を解明している本です。 この事件にかんする一般の人びとの知識は、事件が歌舞伎や浄瑠璃の題材としてとりあげられたことで、すでに多くの脚色を受けたものになっています。そこで、事件の史実を明らかにしようとするばあい、そうした脚色された常識を払いのけて、一次史料にもとづいてなにが事実であったのかということをしらべる必要があります。 ところが著者は、この事件を記した一次史料のなかにも、それぞれの立場からの先入観が入り込んでおり、ばあいによってはたがいに矛盾する点が存在していると指摘します。そして、まさしくそのようなところに、この事件の「生々しい灰色のリアリティ」を読みとることができると著者は考えています。 こうした観点から、事実そのものだけでなく、事件についての史料を記した人びとの肉声にせまることが、本書の目的とされています。
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赤穂浪士の討ち入り事件を、ことの発端となった刃傷事件から討ち入り後の沙汰に至るまで、どちらか一方に肩入れすることもなく数々の文献を基に、その背景や関係者達の思惑を分析している。 刃傷事件→四十七士達の葛藤と結束→討ち入り→切腹、で赤穂浪士達は本懐を遂げた、というのが一般的なイメ...
赤穂浪士の討ち入り事件を、ことの発端となった刃傷事件から討ち入り後の沙汰に至るまで、どちらか一方に肩入れすることもなく数々の文献を基に、その背景や関係者達の思惑を分析している。 刃傷事件→四十七士達の葛藤と結束→討ち入り→切腹、で赤穂浪士達は本懐を遂げた、というのが一般的なイメージになるが、戦国時代を終えて太平の世になって久しい時期に起きた血生臭い事件だ。吉良上野介が「襲われて死ぬまで、何故自分が狙われなければならないのか理解できなかったのでは」という分析が興味深かった。 どの立場でこの一連の事件を見るかによって解釈がだいぶ異なってくる。映画とTVドラマで忠臣蔵をしっかり見たことがないので、一度くらい見ておき、その作品はどんな解釈で描くのかを確認してみたいと思った。
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1994年刊。著者は神戸大学文学部教授。「仮名手本忠臣蔵」であまりにも著名になりすぎ、その後、文学作品として数多くの小説、劇、映画、テレビドラマなどで描かれた「赤穂浪士吉良邸討入事件」。その現実の模様を、信頼できる文書で複合的に解読しようとするもの。面白い書かと言われれば迷うが、忠臣蔵のドラマなどを見ていれば、興味深いかもしれない。本書にあるごとく、吉良邸討入自体ではなく、事件後、上杉が何等の反駁・仇討のための行動を起こさなかったことが「戦国の終焉」「文治主義の浸透」を雄弁に語っているのは言い得て妙。
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