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崩れ の商品レビュー

3.3

31件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    9

  3. 3つ

    12

  4. 2つ

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  5. 1つ

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2013/10/06

72歳で各地の「崩れ」の現場を見て歩く、なんて無謀すぎます。おそろしい執念。「幸田文」って、生活を大事に暮らす賢い女性のイメージだけれど、そして多分、本当にそうなんだろうけど、その裏側に、こんなクレージーな一面があったなんて…。ギャップが大きいだけに、驚かされました。 その一本筋...

72歳で各地の「崩れ」の現場を見て歩く、なんて無謀すぎます。おそろしい執念。「幸田文」って、生活を大事に暮らす賢い女性のイメージだけれど、そして多分、本当にそうなんだろうけど、その裏側に、こんなクレージーな一面があったなんて…。ギャップが大きいだけに、驚かされました。 その一本筋の通ったところは、白洲正子と重なるな、と思い、年齢を調べてみると、正子の6歳年上で同じ世代。ふたりとも、フィールドワークへの飽くなき探究心を持ち、80歳を過ぎても精力的に物を書いていました。明治女ってかっこいいです。

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2013/03/25

エッセイでも体験記でもなく見てある記。読んでいると本当のことだか本当のことでないんだかわからなくなってくる。ただ事実が人の見たままに書かれていると言うだけでこんなにドラマになるのかというのに驚くし、それだけのドラマをはらんでいる自然をわたしもみたいなあと思う。 あとどうでもいいこ...

エッセイでも体験記でもなく見てある記。読んでいると本当のことだか本当のことでないんだかわからなくなってくる。ただ事実が人の見たままに書かれていると言うだけでこんなにドラマになるのかというのに驚くし、それだけのドラマをはらんでいる自然をわたしもみたいなあと思う。 あとどうでもいいことだけどこの人の乙女座感(細かさとか、自分で終始しようとするところとか)から、一歩はみでるところが読めたのがよかったとです

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2013/09/09

初めて幸田文さんの作品を読む。 幸田さんはどちらかというと 家庭での事を書くイメージが強かったため、 初めて読むには違う作品を読んだ方が 彼女の個性をつかめたかもしれない。 しかし、齢七十を越えてこの鋭い観察眼。 時には自分では歩けないような場所を、 誰かにおぶってもらいなが...

初めて幸田文さんの作品を読む。 幸田さんはどちらかというと 家庭での事を書くイメージが強かったため、 初めて読むには違う作品を読んだ方が 彼女の個性をつかめたかもしれない。 しかし、齢七十を越えてこの鋭い観察眼。 時には自分では歩けないような場所を、 誰かにおぶってもらいながらも、 幸田さんは、崩れた大地や川を 独自の視線と感受性でえぐり取っていく。 いや、えぐり取っていくは 表現が強過ぎるかもしれない。 幸田さんは、怪我をしてしまった大地の傷痕を、 じっと見つめ、自身の心も痛めながら、 どうしたら治癒出来るのか、 その道の専門化ではないがそのために 自分に何か出来ることはないか、 懸命に考えていたのではないかと思える。 この作品を読んでいると、 いかに日本が、いにしえより 自然の意に翻弄されてきた国であったかに 気づかされる。 日本という国の負う宿命について考え、 その地に生きる者としての心がまえについて 教えられる。

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2012/08/05

富士山に登ると,外から眺める優美な姿の印象とは全く違った荒々しい景観に驚く.特に大沢崩れの巨大な崩壊は自然の力の途方もない大きさを感じさせる.というわけで,この「崩れ」を読んでみた.初めての幸田文.72歳の著者が何か自分でも判然としない思いにとらえられて,日本各地の崩れを訪ね歩く...

富士山に登ると,外から眺める優美な姿の印象とは全く違った荒々しい景観に驚く.特に大沢崩れの巨大な崩壊は自然の力の途方もない大きさを感じさせる.というわけで,この「崩れ」を読んでみた.初めての幸田文.72歳の著者が何か自分でも判然としない思いにとらえられて,日本各地の崩れを訪ね歩く. とにかく文章が情緒的.多量の情緒がウェットに押し寄せてくる.私自身が情緒に身を任せてしまうのが苦手なせいもあって,ちょっと重く感じてしまった.「崩れ」にとらわれた著者の気持ちは伝わってくるが,どこを訪ねても,あまり差異がなくて,「崩れ」に取り付かれているという印象だけが残る.あとがきを読むと幸田文の本としては異色の本らしいので,また他日,別の本を読んでみたい. 内容とはあまり関係ないが,著者がやりたいこととやれることの差を埋めるのに多くの人たち(その多くはお役所の人たち)の手を煩わせざるをえなかったのが私にはとても残念に思える.年をとるということはそういうことなのかもしれないけれども,なるべく自分のやりたいことは,自分でできるように,体力・知力をうまくバランスをとりながら維持するというのは大切だとつくづく思ってしまった.

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2012/07/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

70歳を過ぎた老婆の冒険物語。日本の崩れ探訪。このバイタリティーには拍手。家事手伝いと化した私も見習わらなければとチトあせる。名を成し功を遂げた人だからここまで周りが協力してくれたのも老婆の力。 文中に「心がしかむ」との表現があるが、沖縄の方言にも「しかむ」との同義の語がある。しかんだ!「台所のおと」のイメージからさらに私の中で魅力が増した。なんか幸田文をもっと読みたくなった。

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2012/06/19

年齢72歳 体重52キロ、普段は「きもの」のこの幸田さんが日本中の‘‘崩れ’’を見て歩いたルポです。地震被害者に何を言っていいかわからなくなっている私達のためのお手本。

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2012/01/11

(2012.01.05読了)(2011.12.18購入) 【東日本大震災関連・その47】 「日本列島の巨大地震」尾池和夫著、の中で紹介されていた本です。古書店で探していたら見つかったので、購入してきました。 この本は、小説ではなく、エッセイです。「崩れ見てある記」です。 「年齢7...

(2012.01.05読了)(2011.12.18購入) 【東日本大震災関連・その47】 「日本列島の巨大地震」尾池和夫著、の中で紹介されていた本です。古書店で探していたら見つかったので、購入してきました。 この本は、小説ではなく、エッセイです。「崩れ見てある記」です。 「年齢72歳、体重52キロ」の幸田文が、自分でもよく分からない衝動にかられ日本全国の「崩れ」を見てあるく。静岡県の大谷崩れ、富山県の鳶山崩れ、富士山の大沢崩れ、日光男体山の崩れ、長野県の稗田山崩れ、さらに北海道の有珠山、鹿児島県の桜島と火山へも足を延ばす。(182頁) 「婦人之友」に1976年11月から77年12月にかけて14回連載され、1990年に作者が無くなったあと1年して、ようやく講談社から出版された。(181頁) 地図や写真があるともっとよく分かるのじゃないかな、と思いつつ読みました。幸田さんの行った崩れの現場にぜひ行ってみたいものだと思うけれど、勝手に近づくと危ないところのようなので、写真集でもあれば、見てみたいものです。 それぞれの回の大まかなテーマは以下の通りです。 一、大谷崩れ(山梨県と静岡県の県境) 二、山崩れの手引書、あばれ川の学習書 三、由比と大崩海岸(焼津、静岡) 四、大沢崩れ(富士山) 五、浅間山 六、東頸城郡松之山町 七、大谷崩れ(再び)、日光男体山の薙ぎ 八、鳶山崩れ(富山県常願寺川) 九、鳶山崩れ(続) 十、鳶山崩れ(続々) 十一、稗田山崩壊、浦川姫川の暴れ(長野県) 十二、桜島(鹿児島) 十三、桜島(続) 十四、有珠山(北海道) ●風景(27頁) 家のない風景には清潔な美しさがある代わり、時としてはあまりに淋しい。家のある風景には生活から滲みだす汚れがある代わり、時としてはなにかほっとして、安らぎを感じる。 ●崩壊とは(29頁) 崩壊は、そもそも地球のお腹の中がどうなっているかを知ることから始まって、海陸の仕組み、山の成立ち、岩石土砂の性質、年齢、風雨寒暖四季植物、水の性質、川のご機嫌等々、思っただけでも気の遠くなりそうな大勉強をしなければ、わからないものらしい。私には到底無理だ。 ●三大崩れ(31頁) 富山県鳶山崩れ、富士山の大沢崩れ、長野県稗田山崩れを、三大崩れとしたものもある ●大根足(44頁) いま山を歩くたびに思わされるのは、大根足ということなのだ。白いということでも、太いということでもなく、大根は重くて、どたっとしているということ。 ●土に埋もれて(66頁) 膝の上まで土に埋まっては、自分の足ながら、どうしてなかなか引き上げることは難しい。実感として、土は土同士が結束して、足のまわりを平均的な力で囲んだうえ、下方へ引っ張ろうとしているかのような感じがあった。 ●桜島・南岳(147頁) 噴煙は後から後からと、丸い頭を押し出す。ただ眺めれば興深く、美しくもあるが、あの中にこの路上にある灰と同じ砂粒大の、小豆大の、霰大の、いえそれよりもっと大型の、焼けた岩石が含まれているかと思うと、心がしかむ。煙といえばやさしいが、つぶてを持っているのである。 ☆関連図書(既読) 「日本列島の巨大地震」尾池和夫著、岩波書店、2011.10.26 「大火砕流に消ゆ」江川紹子著、文芸春秋、1992.11.20 (2012年1月11日・記)

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2011/11/13

日本は地震の多い国であると同時に火山国でもあるんだよね。 日本人は自然災害を受け入れながらしなやかに生きている国民なんです。3.11の自然災害も原発事故も乗り越えられる、そう強く思いました。

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2011/04/29

72歳、52キロの著者が、日本中の「崩れ」を見に行く。建設省富士砂防工事事務所の所長に「崩れるとか崩壊とかいうのは、どういうことなんですか」と聞くと、地質的に弱いところという答えがかえってきた。それを聞いた幸田さんは、弱い、という一語がはっとするほど響いてきたという。 「読んだの...

72歳、52キロの著者が、日本中の「崩れ」を見に行く。建設省富士砂防工事事務所の所長に「崩れるとか崩壊とかいうのは、どういうことなんですか」と聞くと、地質的に弱いところという答えがかえってきた。それを聞いた幸田さんは、弱い、という一語がはっとするほど響いてきたという。 「読んだのではただ通り過ぎた 弱い が、語られてぴたりと定着し、しかも目の中にはあの大谷崩れの寂莫とした姿が浮かんでおり、巨大なエネルギーは弱さから発している、という感動と会得があってうれしかった。」 P71も印象的だったな。あの地震があってからすぐに読んだので特に。 「人は何の彼のと偉そうにしていても、足の下に動かない土というものがあってこそのこと。むかし子供のころ、動きなき大地とかいう言葉を教えられ、また若いころには、母なる大地とかいう言葉をきいて、感嘆したこともあったけれど、どうしてどうして、大地は動くのだし、母も人間本来のもつ醜さをさらすこともある。」 P89「富士山もそうだと思う。世界にきこえる美しい山とか、秀峯とかいわれる。本当に端麗な姿をしていると思う。だが一度大沢の崩れを見た上で、あらためて仰げば、端麗とは決して生やさしく、ぐうたらべえに成立つものではなく、このように恐ろしいきびしさの裏打があることを思い知らされ、はじめて端麗の尊さに気づく。富士といい、男体といい、どうしてこうも顕著に、美しさと凄さとを併せ見せているのかと思う。」 崩れを実際に歩いて、女性ならでは、というか、幸田文ならではの感性で受け止め表現した記録。何でも見てやろうという好奇心、自然という人間の力ではどうにもならない巨大な力に対峙していく姿勢、そして感性と、表現力…、素晴らしいです。S51年に「婦人之友」に連載されていたのだってね。

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2009/10/04

砂防の映画をきっかけに見る。この映画も相当面白かった。(A見さんありがとう。) 恥ずかしながら幸田文を始めて読んだが、すごい。 野望ともいえる望みを飾らない文体でユーモアも忘れず。 20080214

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