迷い鳥とぶ の商品レビュー
岩瀬さんは子ども心の不安や寂寥を描くのが上手く、これも主人公だけでなく、父のいない家庭で弟妹の面倒をみなくてはいけない友だちの女の子の屈託もよく伝わってくる。 さらに久々に日本に来て自分の存在の違和感に鈍感な日系人の老人、引きこもり気味の中学生男子、老人を受け入れてギクシャクする...
岩瀬さんは子ども心の不安や寂寥を描くのが上手く、これも主人公だけでなく、父のいない家庭で弟妹の面倒をみなくてはいけない友だちの女の子の屈託もよく伝わってくる。 さらに久々に日本に来て自分の存在の違和感に鈍感な日系人の老人、引きこもり気味の中学生男子、老人を受け入れてギクシャクする主人公の両親(そして象徴的な迷い鳥)。 それぞれの心情は伝わってくるし、安易なハッピーエンドは嫌いな岩瀬さんだから結末にも納得はするけど、不安も寂寥も全く解消されないので、読み終わっても辛い気持だった。ちょっと明るさが見える(あるいは将来的に期待できる)ような終わり方をすることもある岩瀬さんだが、今回はそうならず、児童文学としては厳しいかな、という気がした。 そもそも岩瀬さんは児童文学を書いているという気持ちはないのかもしれないが。(児童文学の枠に入れられちゃってるだけ。)
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