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無伴奏 の商品レビュー

3.7

40件のお客様レビュー

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多感な響子は偶然に出…

多感な響子は偶然に出会った渉に強く惹かれるが、相手の不可解な態度に翻弄される。『恋』と似た感じの長編です。

文庫OFF

2024/03/20

自らの青春時代を振り返りつつ、楽しみながら執筆したと言う小池真理子の半自伝的作品「無伴奏」は、彼女が多感な時期を過ごした60年代終わりから70年代初めにかけての何処か張り詰めたような空気がヒシヒシと伝わってくる力作だ。主人公の響子が経験する胸が張り裂けんばかりの出来事には、思わず...

自らの青春時代を振り返りつつ、楽しみながら執筆したと言う小池真理子の半自伝的作品「無伴奏」は、彼女が多感な時期を過ごした60年代終わりから70年代初めにかけての何処か張り詰めたような空気がヒシヒシと伝わってくる力作だ。主人公の響子が経験する胸が張り裂けんばかりの出来事には、思わず読んでいるこちら側も心を揺さぶられる。文中では、しばしばミック・ジャガーについて言及されるが、響子の恋人・渉と、彼と同居する友人・祐之介の関係性は、ミックとデヴィッド・ボウイのそれを彷彿とさせた。本編は、「恋」「欲望」と合わせ、著者の「恋愛三部作」と呼ばれるが、あとの二冊も久方ぶりに目を通したくなった (新潮文庫版にて再読) >>>>>>> 2024/03/14 映画「無伴奏」(2016) DVD鑑賞 【監督】矢崎仁司 【配役】成海璃子(野間響子)     池松壮亮(堂本渉)     斎藤工(関祐之介)     遠藤新菜(高宮エマ) 原作の雰囲気はよく再現されていたものの、粗筋を駆け足で追ったという感じは否めず、響子や渉の苦悩が十分に伝わってきたとは言い難い。主演の成海璃子は響子役にピッタリだったが、渉役の池松壮亮に関しては私のイメージとは若干違う気もした ★★★★★☆☆☆☆☆

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2022/10/09

恋3部作の第1作。第2部の「恋」を先に読んでしまった私にも充分楽しめた作品。 70年代の若者の混沌を知っている私には、時代背景がスッと入って来てわかりやすかった。響子の心の描き方、渉の仕草や言葉遣いの描き方、私が小池作品を好む理由。 恋を先に読んでしまいそちらのインパクトが強過ぎ...

恋3部作の第1作。第2部の「恋」を先に読んでしまった私にも充分楽しめた作品。 70年代の若者の混沌を知っている私には、時代背景がスッと入って来てわかりやすかった。響子の心の描き方、渉の仕草や言葉遣いの描き方、私が小池作品を好む理由。 恋を先に読んでしまいそちらのインパクトが強過ぎた故の評価となってしまった。星半分もあればいいのになぁ

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2022/07/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

途中から一気読みした。なんと…。 普段呑気にBLを読んでいる身からすると、何だか申し訳ないような気持ちになった。 重いけど、読後感は軽い。面白かった。

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2021/10/27

ごくありきたりの物語。と言ってしまったら身もふたもないかな(殺人事件まで起こってるのだから)。結末も予想できてしまうし。 作中の時代にノスタルジックな思いを抱けないと、主人公に共感はできない。 ただ、語り口は良かった。滑らかで。

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2021/06/04

本作は、作者の小池真理子氏が、1960年代に仙台のある女子校に転入し、自身とその時代を下敷きにして書いた物語である(あとがきより)。 実は私の母が、その当時、モデルとなった女子校の生徒で、在学中の小池さんのこともよく覚えていた。ちなみに母は小池さんより2学年下で、学生運動が最も高...

本作は、作者の小池真理子氏が、1960年代に仙台のある女子校に転入し、自身とその時代を下敷きにして書いた物語である(あとがきより)。 実は私の母が、その当時、モデルとなった女子校の生徒で、在学中の小池さんのこともよく覚えていた。ちなみに母は小池さんより2学年下で、学生運動が最も高揚していた時期に入学したという。 作品と合わせると、主人公・野間響子が、制服廃止闘争委員会の委員長になったのが高2生で、母は中3。響子もこの時がいちばん『闘争』として、反戦デモやアジビラ刷りに加わり、その渦中にいたが、渉と祐之介、エマらとの出会いにより、運動から徐々に疎遠になっていく。 高3生の頃には、予備校と学校をサボりながら、渉という若く美しい男性に惹かれ、ある意味、普通の少女として、恋に夢中になって日々を過ごすようになる。 思春期と時代が、響子の何者かである、という自尊心を突き動かしたものの、恋に傾倒するにつれ、何者でもなかった自分を知る倦怠と虚しさ、くすぶった熱情が、余計に渉への恋慕として注がれるようになったのだ。 響子の恋は、残念ながら成就してしまう。そして突然に喪われる。 しかし、この恋を失う過程で、響子にとって、超えられなかったのは性差ではなく、祐之介という人間であり、膨れ上がる憎しみも怒りも、祐之介の「存在」に向かうのだ。 だからこそ、響子は渉と祐之介の結びつき/セクシュアリティを、最後まで胸の裡に納めたのだろうし、20年後もきっかけはありながら、告白はしなかった。そうすることで、彼女はあの熱に浮かされ、唐突に途切れた青春を、過去にしたのだと思う。 蛇足だが、小池さんの卒業から2年後、高3生になった母は生徒会長に就いて、卒業式では答辞を読んだ。学生運動盛んな時代、母の答辞は、事前に教師たちから「検閲」を受けたという。 その青春時代から5年後、母は私を産むのだが、卒業式の写真の少女は、今も口をへの字にして、挑むように私を見ている。母が笑っていない写真は、このたった1枚だけである。 【追記】 映画『無伴奏』も、たいへん良かったです。原作を読んでからの鑑賞をおすすめします。

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2020/10/31

この時代を生きてきてはないけど、体験できた気がした。若い頃のこういう恋愛の経験ってトラウマになりそうだけど人として成長もできそうだよなと思いました

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2016/12/20

こんなにも胸が苦しくなる小説は久しぶりに読んだ。 映画化され、そのCMでキャストと内容に興味を持ち、まずは原作と思って手に取った初めての小池真理子。 一つひとつの文章が美しく、心理描写が丁寧で読んでいるとするっと響子に入り込める感覚が気持ちよかった。 だからこそ、あの衝撃を響子と...

こんなにも胸が苦しくなる小説は久しぶりに読んだ。 映画化され、そのCMでキャストと内容に興味を持ち、まずは原作と思って手に取った初めての小池真理子。 一つひとつの文章が美しく、心理描写が丁寧で読んでいるとするっと響子に入り込める感覚が気持ちよかった。 だからこそ、あの衝撃を響子と同じように感じることが出来たのだと思う。 何となく予感はしていたが、あのようにまざまざと見せつけられるとは。響子の悪魔がここまで影響を与えるとは。 これはただただ単純に愛の物語だと思う。混沌に溢れた世間で、2組の20歳そこそこのカップルが真剣に愛し合い、憎しみ合い、考えた物語だ。だから、この結末はあまりにも苦しく、美しい。 自分はここまで、ひとりの人のことを将来愛せるのだろうか。

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2016/11/16

私は、「心に重石をのせるような作品は必ず作者の経験がたっぷり含まれている」、と考えています。今回もそうでした。60年代なんて、わたしの親世代すら生まれていないような時代です。でも、それが目の前で息をしているかのように広がってきました。作者がその街で本当に息をしていたから、灰色の空...

私は、「心に重石をのせるような作品は必ず作者の経験がたっぷり含まれている」、と考えています。今回もそうでした。60年代なんて、わたしの親世代すら生まれていないような時代です。でも、それが目の前で息をしているかのように広がってきました。作者がその街で本当に息をしていたから、灰色の空を見ていたから、わたしもその街で息をしているかのように感じることができるのです。なんだか頬の横を仙台の風が通り過ぎていったみたいでした。

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2016/04/06

小説自体は25年くらい前のもので、舞台は1960年代後半の仙台。学園紛争やデモなどが激しかった時代の、ひとつの恋とミステリー。 高校生の響子と大学生の渉。そして渉の親友の祐之介と恋人のエマ。四人の想いが交錯して、ある事件が起きる。 小池真理子さんの小説を読むのは思えば初めてで、...

小説自体は25年くらい前のもので、舞台は1960年代後半の仙台。学園紛争やデモなどが激しかった時代の、ひとつの恋とミステリー。 高校生の響子と大学生の渉。そして渉の親友の祐之介と恋人のエマ。四人の想いが交錯して、ある事件が起きる。 小池真理子さんの小説を読むのは思えば初めてで、どうして今まで手に取らなかったのか自分でも不思議。 全編通して美しい。人間の醜さが表れる場面もあるのに、なぜか穢れを感じない。始めに事件を予感させる描写があり進んでいくせいもあるのか、常に死の匂いが漂っていて、どこか物悲しい。 勝ち気な高校生・響子と暗い過去を背負った大学生・渉の恋と一時の出来事を、二十数年後の響子が振り返る形で描かれていて、結果を知ったあとに過去について語る形式だから悲運を予感させる言葉がそこかしこに散りばめられてあるのに、それが何であるのか全く予想がつかなかった。そしてその事件は、個人的には想像もしなかったものだった。 背徳的、というのか。 最後の三分の一はとくに、先が気になって一気に読んだ。 映像化、向いてるかもしれない。 映画を観るつもりはあまりなかったけど、ちょっと気になり始めている。 ミステリの感想は難しいからそこそこに。笑 また読みたい作家さんが増えちゃったなぁ…と、嬉しい悲鳴。 無伴奏というタイトルなのに、しっとりしてて哀しい曲がバックでずっと流れているような物語。「悲愴」を流しながら読みたい。

Posted byブクログ