南極点 の商品レビュー
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1994年(原語版1912年)刊行。英語版・著者生原稿の複写本による補正あり。 1911年12月14日、記録に残る中では、世界初の南極点踏破を成し遂げたローアル・アムンセン(ノルウェー人)隊。本書はその南極点行の紀行文である。 内容はかなり細かい。一方、気性が荒く手なずけにくいエスキモー犬を上手く利用できたのが成功の大きな要因のように見える。 そして、より細かく言えば、ジャムを始め果物を意識して摂取すること、アザラシを仕留め得る猟銃や、寒冷地対策のシェルフや寝袋が利用できるようになった外、装備・備品の近代化が有益のようにも。 そして、それにも増して、全編にわたって現出される陽気なアムンセンの性格もまたその要因のようにも。冬の南極の暗さ、寒さは勿論、夏と言えども食事は満足ではないことを考えると、こういう陽性の態度が意義深いものであったと感じずにはいられない。 ちなみに、アザラシなどの肉の保管庫を漁ろうとした犬がこっぴどく叱られる様や、雌1匹・雄3匹で1週間ほど隊を離れて行方知れず、ひょっこり帰隊してきたというエスキモー犬の細かなエピソード。かようにクスクス出来る叙述もまた本書の買いの部分だろう。
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