楽しい算数授業づくりのマニュアル の商品レビュー

志水広(著者)

2014/03/22

　算数の優れた実践を紹介する本は数あれど、そうした実践を、どう発想して、どう組み立てればよいかを解説した本は、意外と少ないのではないでしょうか。

　そのいわゆる授業づくりのマニュアルに、正面から挑んだ意欲的な一冊。

　あまりにも具体的すぎる、細部にこだわった方法論に偏ったものではなく、かといって、理念ばかり壮大すぎて参考にならないものでもなく、非常にバランスのよいマニュアルに仕上がっています。

　前半は、p.14　授業づくりの構成段階でのマニュアルということで、11の指導法について、一つずつ詳しく説明がされています。その後、p.58　発問とは何か、p.64　授業づくりの構想・設計・実際のマニュアル、p.76　実践例から授業技術をながめると続きます。

　理想論を振りかざすのではなく、あくまでも筆者が実際にやってきた授業のつくり方を、分かりやすく解説している点がとても好感がもてます。奇抜なアイディアではなく、p.104　「平凡な教具で平凡な教材で研究授業をしたいと願いを転換したからだ。」とあるように、シンプルな教材を扱っている点も参考になると思います。

　続編も出ているようですが、この方向で、だれか算数の授業づくりのマニュアルを極めてくれないかなあ。