玄鳥 の商品レビュー
登場人物が人を斬ると…
登場人物が人を斬るという武士だからこそ、人の思いがこんなにも伝わってくるのかもしれない。
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武家社会というものを…
武家社会というものを知った気がする。玄鳥、三月の鮠、闇討ち、鷦鷯、浦島の5篇が収録されている。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
藤沢周平「玄鳥(げんちょう)」、1994.3発行、玄鳥、三月の鮠(はや)、闇討ち、鷦鷯(みそさざい)、浦島の5話。短編だけど読み応えがあります。弦鳥と三月の鮠がお気に入りです。武家の妻、武家の娘の心のさまがよく描かれた作品だと思います。 藤沢周平「玄鳥」、1994.3発行、再読。弦鳥、3月の鮠、闇討ち、鷦鷯、浦島の5話。3月の鮠(はや)がお気に入りです。
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1994年第1刷、文藝春秋の文春文庫。全5編。解説は中村孝次。『闇討ち』闇討ちに失敗した友人の敵討ち。「家に代えてもつらぬきたい一念」という言葉がぐっとくる。『鷦鷯』貧乏だが誇り高い男。その誇り高さが最初にうまく提示されている。そして、娘の婚姻相手として浮上してきた男への感情の揺...
1994年第1刷、文藝春秋の文春文庫。全5編。解説は中村孝次。『闇討ち』闇討ちに失敗した友人の敵討ち。「家に代えてもつらぬきたい一念」という言葉がぐっとくる。『鷦鷯』貧乏だが誇り高い男。その誇り高さが最初にうまく提示されている。そして、娘の婚姻相手として浮上してきた男への感情の揺れが面白い。全体に滑稽な部分と剣を使って悪役を断つ部分(決して剣豪な部分ではない)がマッチしていて面白い。 収録作:『玄鳥』(げんちょう)、『三月の鮠』(はや)、『闇討ち』、『鷦鷯』(みそさざい)、『浦島』、解説:中村孝次 少し考えたこと:滑稽さというのは対外的に対面を保とうとする(いわゆる「武士は食わねど高楊枝」)ところからくるような気がする。江戸時代には、対外的には体面を保させて助けることができていたように感じる。まぁ、助ける町人は身分が下ということもあるでしょうが。現代は、対外的に対面を保ちたいと考えている人は多い一方で、体面を保たせたまま助けることができないようになっているように思う。なんともならないような気もするが、何とかならないものだろうか。
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安定の内容。 図書館本の合間や短い時間の読書には持ってこい。 藤沢作品の短編本は常に持ち歩いている。 文章が奇麗で描写も心洗われるほど美しい。
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内容(「BOOK」データベースより) 無外流の剣士として高名だった亡父から秘伝を受けついだ路は、上意討ちに失敗して周囲から「役立たず」と嘲笑され、左遷された曾根兵六にその秘伝を教えようとする。武家の娘の淡い恋心をかえらぬ燕に託して描いた表題作をはじめ、身の不運をかこつ下級武士の...
内容(「BOOK」データベースより) 無外流の剣士として高名だった亡父から秘伝を受けついだ路は、上意討ちに失敗して周囲から「役立たず」と嘲笑され、左遷された曾根兵六にその秘伝を教えようとする。武家の娘の淡い恋心をかえらぬ燕に託して描いた表題作をはじめ、身の不運をかこつ下級武士の心を見事にとらえた「浦島」など珠玉の五篇を収録。
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無外流の剣士として高名だった亡父から秘伝を受け継いだ路は、上意討ちに失敗して周囲から「役立たず」と嘲笑され、左遷された曾根兵六にその秘伝を教えようとする。武家の娘の淡い恋心を、かえらぬ燕に託して描いた表題作をはじめ、身の不運をかこつ下級武士の心を見事にとらえた「浦島」など、珠玉の...
無外流の剣士として高名だった亡父から秘伝を受け継いだ路は、上意討ちに失敗して周囲から「役立たず」と嘲笑され、左遷された曾根兵六にその秘伝を教えようとする。武家の娘の淡い恋心を、かえらぬ燕に託して描いた表題作をはじめ、身の不運をかこつ下級武士の心を見事にとらえた「浦島」など、珠玉の五篇(他に「三月の鮠(はや)」「闇討ち」「鷦鷯(みそさざい)」)。
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これで文春文庫で未読の藤沢周平作品は未刊行初期短編集の「無用の隠密」だけになってしまった、と私は思った。もちろん困らない。どうせ読み始めれば、初めてのように読んでしまうことを経験的に知っているからだ。これも再読でも構わないと思い買ったのだ。兎も角、ふと久しぶりに読みたくなった。そ...
これで文春文庫で未読の藤沢周平作品は未刊行初期短編集の「無用の隠密」だけになってしまった、と私は思った。もちろん困らない。どうせ読み始めれば、初めてのように読んでしまうことを経験的に知っているからだ。これも再読でも構わないと思い買ったのだ。兎も角、ふと久しぶりに読みたくなった。そしたら思いがけず五篇とも未読だった。 「三月の鮠」には「窪井信次郎は胸に簡単に消えない鬱屈をかかえていた。」とある。この短編集は、初期作品を集めたのだろうか。私は疑う。藤沢周平が「胸に簡単に消えない鬱屈」のために小説を書き始めたことを知っているからである。ところが、信次郎の「鬱屈」は青年のかかるいっときの挫折であることが知れる。それは一つの「恋の力」で簡単に解決されるだろう。 「私、兵六さんのお嫁になりたい」 と妹の節が言った。 「どうして?」 「だって、あのひとおもしろいから」 「だめ。身分が違うでしょ」 路は叱ったが、路自身も粗忽でおもしろい兵六の嫁になりたかったのである。路は十五で、節は十三だった。そういう時は終わって、巣をこわされたつばめは、もう来年は来ないだろう。すべてが変わったのだ。(42p「玄鳥」より) 表題作「玄鳥」も、ストーリー的には哀しい話であるにも関わらず、節の物言いに、幸せを取り戻した藤沢周平の家族の姿が見える。愛娘の展子さんの言ったであろう言葉から、おそらく十数年経って、初めて作品として結実しただろう柔らかい空気が読み取れる。 「闇討ち」は定年3人組の友情物語であり、実は非常に現代的でかつ、ミステリー趣向も濃い。 「鷦鷯(ミソサザイ)」は冒頭の季節の移り変わりの描写が上手く、その季節と共に、頑固親父の気持ちも移り変わる。 「浦島」の孫六の、理不尽に左遷させられた中年男のなんとも言えない「面白味」が、最後まで余韻に残る。 決してすべて楽しい話ではないが、全体的に「おかしみ」を描いた、正に藤沢周平晩年の円熟期に達した佳品ばかりを集めた本であった。 2016年8月8日読了
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玄鳥 三月の鮠(はや) 闇討ち 鷦鷯(みそさざい) 浦島 武家の娘の淡い恋心をかえらぬ燕に託して描いた表題作をはじめ、身の不運をかこつ下級武士の心を見事にとらえた「浦島」など珠玉の五篇を収録。
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