沈黙の壁を打ち砕く の商品レビュー

アリスミラー(著者),山下公子(訳者)

2022/12/04

一貫しているのは子供は親に抑圧されて育てられ、それゆえに生きづらさを抱えて生きなければならない。
そこから解放されて真の生を生きるべきだ、ということ。親に抑圧されて育ったと感じている自分にとっては、裏付けになる言葉だった。
ただ、ヒトラーやチャウシェスク、スターリンへの批判に多くのページが割かれて読みにくさも感じた。

2012/09/22

読みづらい。
ミラー氏のエッセイといった趣の文章が、テーマをぼやけさせる。
しかしミラー氏の主張はブレていない。そこがよかった。

躾という名の虐待は、虐待を受けた本人も「あれは躾だったのだ、親は私を愛していたから躾てくれたのだ」と合理化し、虐待を受けた時の苦痛を抑圧してしまう為、大人になってから精神疾患を患っても原因が分からず、何年も苦しい思いをしてしまう。
セラピーや薬は一時の慰めにしかならず、この子どもの頃の合理化が間違っていること、子供の頃に抑圧した苦痛を解き放たなければ、治癒はできないと言い切っている。
西洋のほとんどのセラピーは「許し」を治癒には欠かせないというが、「許し」は百害あって一理なし。合理化・抑圧がいかに根深いかを思えば、「許し」などしない方が良いのだと断定している。