ロシア正教の千年 の商品レビュー
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歴史観としてはタタールのくびきによりロシアの発展は遅れたという説を採用している。 以下はメモ ・ロシアにおいても固有の自然美と精神文化がある。ロシア正教会とその教義こそがロシアの精神と歴史そのものである。P19 ・20世紀は非ロシア的原理がロシアを破壊した世紀でもある。トロツキーやスターリンなどが登場し、ロシアを支配した世紀であった。P20 ・ビザンツの滅亡により、正教の正統後継者としての地位を獲得するが、西欧文明の影響を遮断したため、深刻な精神的孤立を経験しながら独自の発展をしていった。P33 ・ウラジーミル1世が正教を選択したのはロシアの民にとって最も適合していると信じた為である。正教は体系化、組織化、厳格でもなかった。P47 ・ロシア人のキリスト教は他の宗派によって必ずしも重視されていなかった信仰生活の一面を強調していた。P50 ・キリスト教徒の信念として死刑や拷問を禁止した大公や皇帝が輩出していた。P53 ウラジーミル2世はキリストの教えを忠実に守り、子孫にも「庭訓」にキリスト教徒信仰に従うように書いた。P56 ・アレクサンドルネフスキーは国難を救った国民的英雄と言うだけではなく、正教会によって列聖された聖人でもある。P60 ・キエフ・ルーシはポロヴェツ人の侵入、そして、東西貿易の中心がドニエプル系から地中海に移っていたことが衰退の要因。P61 ・モンゴルの侵入により、キエフに代わって北方の都市ノヴゴロドがロシアの中心となり、それとともにキリスト教が北と北東に広がった。P61 ・ロシアの経済活動の中心は都市から農村に移り、モスクワが歴史の舞台に登場してくることになる。P61 ・モンゴル人のロシア支配は過酷なものであった。強制的に徴兵されて、独立への微かな動きも無慈悲に抑圧された。都市が荒廃したために、農業が経済活動の中心となった。長年にわたって培われてきた多くの貴重な技術が失われ、そして商業活動が衰退した。またそれまで諸公の権力を抑制する重要な役割を果たしていた「民会(ヴェーチェ)」も解体した。モンゴル人の支配によるルーシ諸都市の崩壊は、経済の衰退をもたらしただけでなく、ロシアの政治システムに痕跡をとどめていた民主制をも根こそぎ破壊してしまったのである。P61 ・「タタールのくびき」という苦難の時代において正教ロシアの精神的な支えとして人々の支持を受け、むしろその勢力と影響力を増大させたのである。とりわけ農民の間にキリスト教が急速に広まったのである。P62 ・14世紀初頭、タタール人がイスラームに改宗して以来、ロシア正教会に対する彼らの寛大な態度は次第に敵対的なものへと変わっていった。P68 ・ドミトリーの勝利は、ロシア人とタタール人との関係を決定的に変えるものであった。ロシア人にとってママイ・カンへの勝利はタタール人支配からロシアを開放する第一歩であった。P71 ・府主教庁をウラジーミルからモスクワ移し、宗教上の至上権をモスクワにおいた。これはクリコヴォの会戦での勝利が影響していた。P74 ・イヴァン3世とのゾエの婚姻関係とタタールのくびきからの解放は、ロシアの教会と国家に決定的な影響を及ぼした。P77
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とても興味深い内容でした。 ロシア史は血みどろ、とどこかで聞いたことがあるのですが、本当に革命の度に血が流れていたことが分かります。 あと、ロシア国民の純粋さも。 ソ連時代の宗教弾圧についての部分は、びっくりするほど過酷です…。ここでは書けない。 愛憎の裏返しを地で行くような感...
とても興味深い内容でした。 ロシア史は血みどろ、とどこかで聞いたことがあるのですが、本当に革命の度に血が流れていたことが分かります。 あと、ロシア国民の純粋さも。 ソ連時代の宗教弾圧についての部分は、びっくりするほど過酷です…。ここでは書けない。 愛憎の裏返しを地で行くような感じです。「コルコルコル…」の恐ろしさが身にしみます笑 その名の通りロシア正教の歴史について書かれた本。 ロシア史が気になるなら、この本も読んでみることをお勧めしたいです。 ヨーロッパとキリスト教は切っても切り離せないほど深く関係していますし。 普通の歴史からでは見えにくいロシア像が見えるのではないかと思います。
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