自立ということの意味 の商品レビュー
この本は障害とされる社会性に関わる四人の専門職にある人からのメッセージである。 障害者と呼ばれる子供を持った小説家である父がその立場になって気付いた人間社会特有の歪みがあり、その中で自分がどう関わりながら活きて行くかという話と。 同じような境遇の法律家である父の法的秩序のこだ...
この本は障害とされる社会性に関わる四人の専門職にある人からのメッセージである。 障害者と呼ばれる子供を持った小説家である父がその立場になって気付いた人間社会特有の歪みがあり、その中で自分がどう関わりながら活きて行くかという話と。 同じような境遇の法律家である父の法的秩序のこだわった福祉的考え方と。 医者という立場からの命と老いについての思いと。 女優である母親が交通事故で半身不随になり、そこで見つけ出す自分というものの在り方と。以上の四つの話を自立という視点でまとめた本である。 それぞれが個人的で専門的な狭い視野で、山の頂に至っていない途中の話だから、バラバラだけれども、だからこそ四つをまとめることで思い込まずに冷静にそれぞれで補い合わせて読むことができる。 表面的であるにせよ気付いた問題点を丁寧に指摘しているし、私利私欲に溺れている現状を、融通を嫌う知的な面で世の中をズルク生き抜く事の出来ない子供を持ったことで、差別やイジメ(搾取)や矛盾やだましに目を光らせている。 資本主義という物質の力を借りて支配しようとする者達が、搾取の対象でしかない者達を仲間に見せ掛けておくために、民主主義という心によって集う関係づくりを抱き込んで体裁を繕うことなど所詮無理な話のはずなのに、明治に始まり戦後の日本は今に至るまで、無理を承知でだましだまされ虚勢を張る演技を続けてきた。 教育とマスメディアによって半信半疑のまま競争社会の正当性を自らに洗脳してきた。 与えられた小さな飴玉を取り上げられることが怖くて、膨大過ぎて見えにくい差別と搾取を拒むことができない。 そんな臆病風に吹かれている自分を正当化するために、首を引っ込めて本質を見ようとしない。 自主的に活きると言う意味での自立が成り立つ食物連鎖のプロセスの中にあって、その自然界からはみ出し不必要に結果を求め、搾取し合う競争と言うリンチ集団に閉じこもっている人間は、自主的でいることさえ簡単でない。 自立の前に暴力的な成果を結果で示し続けなければその立場を失う。 競争社会から抜け出すためには自律心を取り戻し、自分の判断によって活きられるようになる必要があるのだろうと思う。
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2012.01.03. これも、レポートを書くに当たって図書館で借りました。講演会の内容をまとめたもので、当時は知的障害を「精神薄弱」と、まだ言っていた様子。…時代を感じるなぁと思うけど、出版されたのは20年くらい前だから、まだ最近の話。大江健三郎さんのがいいです。真摯に生きてら...
2012.01.03. これも、レポートを書くに当たって図書館で借りました。講演会の内容をまとめたもので、当時は知的障害を「精神薄弱」と、まだ言っていた様子。…時代を感じるなぁと思うけど、出版されたのは20年くらい前だから、まだ最近の話。大江健三郎さんのがいいです。真摯に生きてらっしゃるという感じで、著書も読まず嫌いをしていたけど、読んでみたいと思いました。
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